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【著者に訊け】逢坂剛氏 人気シリーズが完結『百舌落とし』

9/16(月) 7:00配信

NEWS ポストセブン

【著者に訊け】逢坂剛氏/『百舌落とし』/2000円+税/集英社

 タイトルは知る人ぞ知る、野鳥狩猟の囮作戦のこと。

「百舌(もず)も相当に残虐な鳥だけど、その瞼を縫って木にくくりつけ、ギャーギャー泣き喚く声で他の鳥を誘き出す作戦らしい。私も昔、日本国語大辞典で見た時は驚いたけど、残酷な百舌がより残酷な人間に利用される構図が、このシリーズの締めにはぴったりでした」

 逢坂剛作「百舌シリーズ」の完結編は、元民政党議員〈茂田井滋〉が両瞼を縫い合わされた上で殺されるという怪事件で幕を開ける。被害者は頸部を千枚通しで一突きされ、現場には例の鳥の羽が。そう、あの伝説の殺人鬼、百舌の手口だ。

 が、警察内部で男たちを篭絡し、組織壊滅を図った美人警官〈洲走(すばしり)かりほ〉は既に死亡し、前作の容疑者も消息不明に。そして黒幕の民政党幹事長〈三重島茂〉だけがなおも生き残る中、池袋で探偵を営む元刑事〈大杉良太〉や公共安全局に出向中の特別監察官〈倉木美希〉が新たな陰謀を疑うのも無理はない。何度も蘇り、決して絶えることがないのが、この世の悪であり、百舌なのだから。

 シリーズ第1作『百舌の叫ぶ夜』から早33年。エピソード0『裏切りの日日』からは、実に38年が経った。

「ホント、よく書いてきたと思いますよ。私は基本、シリーズは3作までと決めているんですが、読者に続編を期待されるとつい未練が出てね。やはり長年育ててきた人物には愛着もありますし。そのわりには作品内ではさっさと処分しちゃうんだけど(笑い)」

 まずは主人公の公安刑事〈倉木尚武〉が第3作目で非業の死を遂げ、初代百舌こと新谷和彦も死んだ。その後も歴代の百舌たちや主要人物が次々に退場し、この完結編でも「次は誰?」と、厭な予感を拭えない。

「先程の話と多少矛盾するけど、作者は読者と違って登場人物に愛着を持ち過ぎてもダメで、その例が『羊たちの沈黙』ですよ。レクター博士の人気もあって、作者のハリスは彼の成育歴なんかを4作目で書いてしまうけれど、怪物はなぜ怪物になったのか、わからないから怖いわけでしょ?

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最終更新:9/16(月) 7:00
NEWS ポストセブン

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