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18歳でW杯予選初参戦!久保建英が越えなければいけない2つのハードル

9/16(月) 7:10配信

@DIME

移動のフィジカル的な負担は想像以上

 中島翔哉(ポルト)と南野拓実(ザルツブルク)のゴールでミャンマーを下し、2022年カタールワールドカップへ白星発進した日本代表。凄まじい豪雨と悪環境の中、難しい2次予選初戦をキッチリ勝ったことは選手たちにとっても大きな自信になったことだろう。

【次のターゲットは日本代表レギュラー獲り】
 この試合で1つの収穫だったのは、18歳の久保建英(マジョルカ)がワールドカップ予選最年少デビューを飾ったこと。後半36分に中島と代わって4-2-3-1の右サイドに陣取った彼は登場から1分後、自らを追い越してきた酒井宏樹(マルセイユ)にヒールパス。次の右クロスを鈴木武蔵(札幌)がゴール前でキッチリ合わせていたら、3点目が生まれていたであろうビッグチャンスだった。

「クロスを上げたのは自分じゃないんですけど、最後のクロスのところに飛び込んでいくっていうのがもし合っていたら点になっていたと思うし、いいクロスだった。あそこに入って行くのが重要かなと思いますね」と久保自身も得点につながりそうな形に関与できたことを前向きに捉えていた。10分足らずのプレーで見せ場がこのくらいだったことで、「とりあえず今日出れたんで、次もチャンスがあれば出れたらいいかなという感じです」と本人はアッサリしたものだったが、カタールへの第一歩を踏み出したのは紛れもない事実。ここから出場時間を増やし、レギュラーをつかんでいくという意欲と決意は強まったに違いない。

 森保一監督が新たな代表を立ち上げてから1年が経過したが、2列目は堂安律(PSV)、南野、中島の「三銃士」を軸に据えてきた。ミャンマー戦を見ても3人の連動性は高く、いいバランスを取りながら攻撃を仕掛けていた。が、ゴールという結果を残した南野と中島に比べて、1月のアジアカップ準々決勝・ベトナム戦(ドバイ)から約8か月間得点から遠ざかっている堂安がやや見劣りする部分は否めない。新天地・マジョルカで右サイドで起用されている久保がこのポジションに入り込む可能性も否定できないのだ。

 実際、久保はミャンマー戦3日後の13日に行われたアスレティック・ビルバオ戦で後半18分から出場。積極的な仕掛けとキレのあるドリブルを前面に押し出し、後半35分にはペナルティエリア内右側でテクニカルな突破からPKをゲット。大観衆を魅了した。このPKはゴールにつながらず、勝利の立役者になることはできなかったが、合流して間もない新たな環境で瞬く間に自分らしさを発揮できてしまう強心臓ぶりと堂々たる立ち振る舞いが久保の武器。A代表に合流している時も「サッカーに年齢は関係ない」と口癖のように言っていて、まだ18歳だという事実をこちらが忘れそうになるくらいだ。そういう長所は活動期間が限られている代表に合っている。マジョルカで試合出場時間が延びていけば、いけば、自ずから堂安の定位置を奪うチャンスも増えていくだろう。

【久保が越えなければならない2つのハードル】
 久保が森保ジャパンの主力になるために超えなければならないハードルは大きく言って2つある。まずは守備の強度を上げていくことだ。5日のパラグアイ戦(鹿島)の後、指揮官が「守備の部分でもまだまだ強さは足りない。まず強さを上げること。そのために本人も果敢にチャレンジしていましたけど、そこは続けて代表でもトライしてもらえればと思っています」とあえて要求を突き付けたように、守備面も含めて90分間ハードワークできるような肉体を作らなければいけない。

 まだ完全に成長期が終わっていない18歳の若武者はフィジカル的な不安定さが垣間見える。堂安や原口元気(ハノーファー)のような強さやパワーを出せるまでには至っていないのも事実だ。が、そこで負けているうちはレギュラー確保は難しい。時間が解決する部分も要素もあるだろうが、今は焦らず地道に強化を重ねていくことが肝要だ。

 もう1つは代表とクラブの掛け持ちをうまくこなす方法を自分なりに見出すこと。
「海外からの移動っていうのは新しい経験。これとどう向き合っていくかというのは1つの新たな課題になると思います」と本人も欧州組になって初めての代表合流に気を引き締めていたが、欧州と日本、アジアを行き来しながら2つのチームを掛け持ちするのはどんな選手でも難しい。中村俊輔(横浜FC)や香川真司(サラゴサ)にように時差適応に苦しむ選手もいて、フィジカル的な負担は想像以上に大きいのだ。

 今回の久保はスペイン→日本→ミャンマー→スペインという三角移動を強いられたわけだが、13日のアスレティック・ビルバオ戦の後には「(ミャンマー戦から)中2日ということで厳しいものもあるかなと思いましたが、思っていたよりも体が軽かったですし、慣れる必要もないというか、若いから大丈夫かな」と会見でコメント。頼もしい口ぶりで森保監督をはじめたとした関係者を安堵させたことだろう。

 しかしながら代表活動は今回だけではない。10月にもモンゴル(埼玉)とタジキスタン(ドゥシャンベ)2連戦、11月にもキルギス(ビシュケク)と大阪での親善試合の連戦が組まれている。3カ月連続で欧州と日本を行き来した結果、昨年の堂安や南野もアジアカップでスランプに陥り、クラブでのパフォーマンスも厳しくなった。久保もそうならないとは限らない。
 しかも彼には1年後に迫った2020年東京五輪も控えている。そのための強化に駆り出される可能性もゼロではないし、このまま行けば来年夏まで休みなくフル稼働ということになる。10代スターを過度にプレーさせた結果、ケガやコンディション不良に陥ったケースは枚挙にいとまがない。協会やクラブは過去の苦い教訓を生かすべき。久保本人は前述の通り「若いから大丈夫」と言うだろうが、その言葉通りに周りが受け取って、ムリをさせていたら、とんでもないことになりかねない。それだけは改めて強調しておきたい点だ。

 いずれにしても、久保の急成長によって、代表の2列目アタッカー陣の競争が激化してきたのは確かだ。両サイドをこなせる原口と伊東純也(ゲンク)に加え、ベテランの香川や乾貴士(エイバル)らも控えている。久保と同じ東京五輪世代の安部裕葵(バルセロナ)や中村敬斗(トゥエンテ)といった欧州組若手もチャンスを伺っている。その中から本物のエースになり、カタールの大舞台に立るのは果たして誰なのか。中田英寿、中村俊輔、本田圭佑といった日本の看板スターを超える逸材がいち早く出現し、サッカー界を大いに盛り上げてくれることを切に願いたい。

取材・文/元川悦子
長野県松本深志高等学校、千葉大学法経学部卒業後、日本海事新聞を経て1994年からフリー・ライターとなる。日本代表に関しては特に精力的な取材を行っており、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは1994年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6大会連続で現地へ赴いている。著作は『U-22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日』(小学館)、『蹴音』(主婦の友)『僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」(カンゼン)『勝利の街に響け凱歌 松本山雅という奇跡のクラブ』(汐文社)ほか多数。

@DIME編集部

最終更新:9/16(月) 7:10
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