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北朝鮮新型ミサイル登場で、「イージス・アショア」配備は本気で考え直す時期に来ている

9/16(月) 8:33配信

HARBOR BUSINESS Online

萩と秋田を「狙いやすい的」にするイージス・アショア

 前回までに、北朝鮮(DPRK)による新型短距離弾道弾(SRBM)の実験によって明らかとなった日本への影響と、西日本における弾道弾防衛の破綻、とくに萩配備イージス・アショアは射的の的となり、先制奇襲攻撃によって僅か5分前後のうちに蜂の巣にされて無効化されることを指摘してきました。これを「アヒルのお座り」(Sitting Duck)と呼びます。

⇒【画像】筆者が2017/08/29に公表した北朝鮮からハワイへの火星14の想定軌道

 これは、日本側の土木利権と合衆国側の四軍それぞれの利権によって、日本では世界に類例なく顕著であり、軍事上、戦略上の意味のない基地が合衆国軍人を危険にさらしている(中国、北朝鮮への事実上の生け贄にしている)問題として顕在化しつつあります*。
<*American Bases in Japan Are Sitting Ducks Tanner Greer, 2019/09/04, Foreign Policy>
 秋田イージス・アショアは、核弾頭MRBM数発で秋田市と共に蒸発しますが、一方で合衆国による核を含む報復攻撃を誘致します。従って北朝鮮にとっては、対ハワイ核攻撃と同じくまさに最後の手段であり、政治的取引材料の性格が強いです。

 萩イージス・アショアの場合は、迎撃がほぼ不可能かつ極めて高い命中精度のSRBMによって、通常弾頭で狙い撃ちできますので、報復核攻撃が発動しうる核と異なり先制奇襲攻撃への政治的ハードルは、たいへんに低いものとなります。しかも日本配備イージス・アショアは、実態が合衆国防衛専用兵器であるにも関わらず、日本人のお金で配備し、自衛隊が運用しますので、例え先制奇襲攻撃で吹き飛ばしても通常弾頭であるならば合衆国による報復の理由になりにくい(合衆国にとり危険な核保有国への報復をする必要がない)という特徴があります。

 北朝鮮はすでに合衆国によって事実上の核保有国と見做されており、合衆国本土に到達する搬送手段(この場合火星14,15号などの大陸間弾道弾(ICBM))の実験も終えています。これにより、合衆国にとって北朝鮮への先制攻撃や報復攻撃の政治的ハードルは、たいへんに高くなっています*。
<*1957年10月4日にR-7ロケットによるスプートニク1号打ち上げによって、ソ連邦のロケット技術の圧倒的な先進性が世界にデモンストレイションされたが、これによってソ連邦による合衆国へのICBM(NATOコードSS-6)による核攻撃能力が示された。これをスプートニクショックと呼び、合衆国による対ソ軍事行動にたいする巨大な政治的障害となった。SS-6は、兵器としては失敗作であり、ICBMとしての実用性はほとんど無く、合衆国もそのことをほぼ正確に把握していたが、強烈な対米抑止力となったことはキューバ危機が実証している。北朝鮮の核、ロケット開発は基本的にこのスプートニクショックの縮小版を目指しており、今のところ成功している>

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最終更新:9/16(月) 12:18
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