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トランプvs中央銀行「通貨攻防」が本格化、欧州も緩和転換で

9/16(月) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

 米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げに続いて欧州中央銀行(ECB)が12日、3年半ぶりの利下げや、昨年末に終了した資産買入れなどによる量的緩和策の再開を決めた。

 FRBも週明けに追加利下げを決める見通しで、主要国の中央銀行が金融緩和で再び、動き出した。

● ECB、量的緩和再開 FRBも追加利下げの見通し

 各国中央銀行に一転、緩和へと舵を切らせたのは、来年の大統領選の「再選第一」のトランプ大統領だ。

 自ら仕掛けた米中貿易戦争やイラン制裁によって世界経済に不透明感が強まるなか、輸出に有利な「ドル安」を求め、また関税引き上げの米経済への影響を緩和する狙いで、FRBに利下げ圧力をかけ続けている。

 ECBや日本銀行も、ユーロ高や円高が進むことを恐れて緩和に向かわざるを得なくなった。トランプ流に各国中央銀行が振り回される構図だ。

 12日、ECBが理事会で、ユーロ圏の銀行が預ける預金ファシリティ金利の利下げ(マイナス0.40%→0.50%)や、11月からの国債買い入れ(毎月200億ユーロ)の再開などを決めると、さっそく反応したのが、トランプ大統領だ。

 「ECBは強いドルに対してユーロを切り下げ、米国からの輸出を妨げようと試み、しかも成功している。それなのにFRBは何もしていない」とツイート。

 前日にも「FRBは政策金利をゼロかそれ以下に引き下げるべきだ」と、利下げを求め続けている。

 理事会後の会見で、ドラギECB総裁は、「ユーロ圏が景気後退に入る可能性はまだ小さいが、高まっている」と語った。緩和に転換したECBの最大の関心も、米国の利下げへの転換でユーロ高が進むことだ。

 EU経済は、中核のドイツが米中貿易戦争の影響で輸出・生産が落ち込むなど、景気の減速感が強まっている。ユーロ高が進めば輸出をさらに落ち込ませることになりかねず、ユーロ圏全体の景気後退につながりかねないからだ。

 会見で、米国の「ドル安誘導」への対応を聞かれたドラギ総裁は、正面から答えることは避けたが「戦略的な為替相場の切り下げはしないというG7の合意をすべてのメンバーが守ることを期待する」。

 “為替引き下げ競争”に向かうことへの懸念をにじませた。

● FRBへの利下げ圧力続く 貿易戦争の“尻ぬぐい”

 FRBにも、金融政策が貿易政策の尻ぬぐいをさせられることへの反発や疑念は強い。

 「金融政策は消費や投資をなど支える強力なツールではあるが、国際貿易を解決するルールブックを提供できるわけではない」

 8月23日、世界の中央銀行首脳らが集まった国際経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で講演したパウエルFRB議長は、トランプ大統領からの緩和圧力にやんわり反発した。

 史上最長の景気拡大局面が続くなか、「世界経済の成長の弱さや貿易をめぐる不確実性に対して『保険をかける(予防する)』ため」と、リーマンショック後、2008年12月以来の利下げに踏み切った。

 「(景気の下振れリスクは)金利ではなく、貿易戦争が引き起こしたものだ」「経済が好調なのに緩和をすれば金融にリスクが生じる」と、内部に反対があったなかでの決定だった。

 だが、その後もトランプ大統領は、対中制裁関税第4弾発動の発表や、中国を「為替操作国」に認定し人民元安を封じ込めるなど、中国との貿易戦争をエスカレートさせる一方で、利下げ圧力をかけ続けている。

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最終更新:9/16(月) 22:50
ダイヤモンド・オンライン

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