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一緒に働く人々を理解したい!――【自著を語る】『組織行動』

9/16(月) 6:30配信

Book Bang

 この春、「組織行動」を共著で出版しました。書名の通り、組織行動に関するテキストです。組織行動(Organizational Behavior: OB)は、組織の中の人間行動を研究する学問分野で、アメリカ経営学会では、組織行動のDivisionに所属する研究者はたくさんいて、大きな学問分野となっています。しかし、日本ではまだ、組織行動の研究をしている人は決して多くありません。リーダーシップやモチベーションといった組織行動の中心概念が一般的になり、経営現場においても注目されているにも関わらず、日本の組織行動研究は細々としか進んでいません。また実は、「組織行動」と銘打った教科書もそれほど多くは出ていないのが現実です。こうした中で本書は、組織行動を学ぶ初学者のためのテキストではありますが、組織行動の面白さを理解し、関心を持つ読者を一人でも増やしたいという共通の思いに基づき書いたものです。

 著者二人で何度も議論を重ねながら担当の章を決め、書いている途中もアイデアを盛り込んだり落としたりしながら、執筆は進みました。どのようなトピックを入れ、どれを外すか、そもそも組織行動の本質的な考え方とは何か、どんな工夫をしたら初学者にとって学びやすいか。共著という作業は、組織行動という学問分野を学ぶ上で何が大事だと考え、また、この分野全体をどう捉えているか、などそれぞれの思考の違いに気づく興味深いプロセスでもありました。この稿では、著者二人がそれぞれの立場から、共著のプロセスの中でお互いに感じた気づきや面白さを綴っていきたいと思います。

因果関係に注目するというアイデア

[服部]組織の中の人間行動についてのテキストを因果関係に注目して解説する、という本書の基本的なモチーフを出してくださったのは鈴木さんです。各章の冒頭部分で、組織のなかで起こる様々な出来事について「なぜそうなるか?」「どういう理屈が潜んでいるか?」といった問いを立て、それについて本文の中で解説していく、というアイデアです。多くのテキストが、「こんな理論がある」「これが大事な用語だ」といった風に、理論や概念をベースとしているのに対して、本書では、読者に会社や職場、組織の「なぜ」をまず考えてもらい、それを説明するための道具として、組織行動の理論や考え方を紹介しています。組織行動の基本・論理を身につけて、応用できる力を付けることを目指したわけですが、まずもってこれが本書の特徴だと思います。私自身が学生時代に、「なぜ」を考えることの大切さを(私の先生でもある)鈴木さんから何度も教えられたことを、執筆中に幾度となく思い出しました(笑)。

[鈴木]同じ状況に置かれても人は必ずしも同じことをするわけではありません。だから人を理解するのは無理だと考えるのか、だからこそ人を理解しようと考えるのか。組織行動を研究してきた人たちは後者の立場に立って研究を進めてきましたし、そこにこの学問の魅力を感じてきました。グローバル化、職場の多様化が進むにつれ、一緒に働く人々を理解しようという考えはより重要になってくると思います。本書を読んで、少しだけでも「なぜ」を考える面白さやその思考がわかってもらえると嬉しいです。私も共著のプロセスの中で、たくさんの「なぜ」に出会い、ずいぶん服部さんへの理解が進んだと思います(笑)。

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最終更新:9/16(月) 6:30
Book Bang

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