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中国、なぜ「異形の大国」? 成長しても民主化進まず

9/17(火) 8:10配信

NIKKEI STYLE

《連載》ニッキィの大疑問

中国が建国70年になるそうね。天安門事件から30年の節目でもあるのね。暮らしは豊かになったのかな? 「異形の大国」と呼ばれることがあるそうだけど、どうしてなの?

【図解でわかる】中国、人口14億人に対して監視カメラ1億7600万台

中国の現状について、飯尾庸子さん(54)と洲崎理差子さん(43)が飯野克彦編集委員に話を聞いた。

――世界第2位の経済大国ですよね。

中国の名目国内総生産(GDP)が日本を抜いたのは2010年。今は日本の3倍近い規模です。建国当初と比べると、経済規模は膨大になりました。国民の可処分所得は建国時の567倍に。1億元(約15億円)以上の資産を持つ世帯がおよそ11万に上るという調査もあります。

経済は巨大ですが、発展途上国です。先進国クラブといわれる経済協力開発機構(OECD)の分類では、先進国の一歩手前の「上位中所得国」で、政府開発援助(ODA)を受け取れます。14億人の人口で割ると1人あたりの経済規模は1万ドル弱と、日本の4分の1程度だからです。

とはいえ、広域経済構想「一帯一路」の下で、中国はアジアやアフリカの発展途上国を経済支援する側に回っています。もうそろそろ発展途上国とはいえないのではないかとの声も出ています。

――先進国にならないのですか?

中国共産党政権は「先進国入りを目指す」とは言いません。むしろ世界最大の発展途上国だと強調しています。1971年に中華人民共和国が中華民国に代わって国連の一員となった最大の原動力は途上国の票でした。世界の圧倒的多数を占める途上国の一員でいるほうが、何かと有利だと考えている面があります。

先進国となると国際的責任が重くなり、二酸化炭素(CO2)の排出量など守るべきルールが出てきます。対外援助も、OECDは相手国の債務負担が重くなりすぎないようにしたり、人権侵害や環境破壊につながらないようにしたりする基準を設けています。発展途上国でいれば縛られずにすむのです。

――「異形の大国」と呼ばれることがあるそうですね。

一党独裁体制なので、民主主義の先進国からみると違和感を覚える点があります。共産党政権は工業と農業、科学技術、国防の「4つの近代化」を目指し、大きな成果をあげてきました。一方、70年代末に民主活動家の魏京生氏が「第5の近代化」として訴えた民主化は、40年あまりたっても実現していません。

ダライ・ラマ亡命につながった59年のチベット動乱や60~70年代の文化大革命、89年の天安門事件、99年の法輪功弾圧、2009年にウイグル人デモ隊と当局が衝突したウルムチ騒乱と、たびたび国民を武力で抑えつけています。

最近はIT(情報技術)の進歩で個人情報が詳細に把握されやすくなりました。キャッシュレス決済のデータで生活や行動がつかめます。監視カメラの顔認識などの性能も上がっています。

豊かになった半面、格差は大きいのが実情です。都市住民と農村住民は戸籍が違い、出稼ぎにきた農民は社会保障や子供の教育も十分に受けられません。農村出身者を強引に立ち退かせて都市開発するなど、社会の不平等が効率的な発展につながっている皮肉な側面もあります。

経済が発展すれば民主化する、との期待から、米国はじめ先進国は技術移転などの支援をしてきました。でも最近は、中国はむしろ新たな覇権国家を目指している、といった見方が強くなっています。さながら文明の衝突の様相も呈していて、これが米中貿易戦争の背景ともいえます。

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最終更新:9/17(火) 9:51
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