ここから本文です

「財政赤字は気にしなくて良い」が大間違いとは言えない理由~MMTはトンでもか?~ (塚崎公義 大学教授)

9/17(火) 6:37配信

シェアーズカフェ・オンライン

MMT(Modern Monetary Theory、現代金融理論)と言われる新理論が米国を中心に話題となっています。財政赤字は気にしなくて良い、というものですが、積極財政論者の筆者が見ても、さすがに危険だと思います。今回は、その理由をご説明します。

■財政赤字は気にしなくて良い、という新理論
MMTを大胆に一言で説明すれば、「政府がどれだけ借金しても、日銀に紙幣を印刷すれば返済できるのだから、財政赤字や借金の事を気にする必要は無い。ただ、財政赤字が膨らむとインフレになりかねないので、その場合には増税してインフレを抑制する事が必要だ」というものです。

「日本では、あれほど財政赤字が大きいのに、何も問題が起きていないではないか」というのが彼らの論拠の一つとなっているようです。

伝統的な経済学の教えと大きく異なっているため、主流派経済学からは強い批判を受けていますが、逆に言えば大御所たちが本気で批判しなければならないほど話題になっている、という事ですね。

ちなみに筆者は積極財政論者ですので、MMTにはある程度共感していますし、それほど「トンデモ理論」だとも思っていませんが、「やはりさすがに能天気すぎて危険だ」とは思います。

■緊縮財政でインフレを抑えるのは容易ではない
政府が緊縮財政を採用していれば、民間人は預金を引き出して納税しますから、人々がインフレになりそうだと思っても引き出す預金がそれほど多くなく、インフレが加速しにくいのです。

しかし、財政赤字が膨らむとインフレになりやすくなります。政府が借金で財政支出をすると、代金を受け取った民間人が預金をします。民間人が預金を持っていると、「インフレになりそうだ」という時に預金を引き出して物を買い急ぎしますから、インフレが加速しかねません。

問題は、「政府の財政赤字が10%増えたらインフレ率が1%高まる」といった関係には無い、という事です。インフレは地震のようなもので、静かにエネルギーが蓄積していき、ある時突然に巨大なエネルギーとして解放されかねないのです。

財政赤字が膨らむと民間人の貯金が増えていきますが、インフレ懸念がなければ彼らはそのまま預金しておくでしょう。そして、石油ショックのような事件を契機として、一斉に預金を引き出して買い急ぎをするわけです。

1/3ページ

最終更新:9/17(火) 6:37
シェアーズカフェ・オンライン

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事