ここから本文です

北東アジア情勢は日米関係をどう変えるか その3 米中対決の深層~国際秩序と価値観戦い~

9/17(火) 23:01配信

Japan In-depth

注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て見ることができません。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=47944でお読み下さい。

【まとめ】

・米中激突は国際秩序変動に繋がる国家と価値観の在り方巡る闘争。

・米政府だけでなく議会も中国を基本的価値観での挑戦者と非難。

・中国で共産党政権がなくなるまで続くとの展望も。日本の仲介困難。

米中両国の対立は北東アジアを根柢から揺るがせ始めた。

この米中激突は単なる「関税戦争」でも「貿易戦争」でもない。国際秩序全体の変動につながる国家と価値観のあり方をめぐる闘争なのである。トランプ政権の対中政策が中国共産党政権の国内抑圧や対外攻勢の基本を糾弾するところまで激化してきたのもその表れだといえる。

とはいえ当面の国際的な注視は米中間の関税の戦いとその経済効果に絞られる。いまの関税戦争が自国の経済にどう影響するのかを懸念することは自然だろう。だがそこだけを見ていると、大きな森を見失う。

トランプ政権は中国に対して「不公正な貿易慣行の是正」を求める。知的所有権の組織的な窃取、中国への進出外国企業への合弁の強制、中国企業への不当な国家支援などを明確な法律で止めよ、と迫るのだ。中国は一度は応じる兆しをみせたが、結局は拒否した。

米国側は自国の要求をのませる圧力手段として関税措置を発表した。中国側も同種の反撃をした。これがいわゆる関税戦争である。関税はあくまで手段なのだ。

だがアメリカ側が非難の矛先を向ける中国側の「慣行」はみな共産党政権の特異体質の産物だといえる。政権が共産党独占である限り、なくせない「慣行」のようである。

となると最極端のシナリオとしてアメリカの攻勢は中国側で共産党政権がなくなるまでは続くという展望も生まれる。トランプ政権の内外でいま中国との「decoupling(切り離し)」とか「disengagement(非関与)」という政策標語がささやかれるのもそんな思考からだろう。

トランプ氏は2016年の大統領選の早い時期から中国への非難を打ち出していた。2015年中からのその非難は中国の巨額な対米貿易黒字に向けられ、貿易だけに絞られたようにみえた。だが実際には中国の内政、外交、軍事という広い領域での対中非難の高まりに乗った公約だった。

当初は貿易に限ったかにみえたトランプ政権の対中姿勢も政治や軍事、人権などへの非難へと広がっていった。基本的な価値観でも中国はアメリカの基本利益を侵害するという強固な対中認識が形成されていった。その結果が2017年12月の「国家安全保障戦略」であり、18年10月のペンス副大統領による新中国政策の発表だった。いずれの政策も中国はアメリカ主導の秩序を侵す存在だと定義づけていた。

アメリカの国政全体でも「米中経済安保調査委員会」というような議会主体の公的諮問機関が超党派で中国に関する調査を続けてきた。同委員会はこの9月4日に「米中関係のこの一年の総括」と題する公聴会を開いた。その公聴会の冒頭でクリーブランド副委員長が強調した。

「米中対立は東アジアのアメリカの同盟国や友好国にとってアメリカか中国かの選択ではない。市民の自由、人権と公正な規則に基づく貿易システムか、あるいは専制的な政治システムの自国中心の帝国主義的な経済野望か、の選択なのだ」

1/2ページ

最終更新:9/17(火) 23:01
Japan In-depth

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事