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16歳SASUKEの登場は“地球規模の騒ぎ“になってもおかしくない――近田春夫の考えるヒット

9/17(火) 17:00配信

文春オンライン

『J-POPは終わらない』(SASUKE)/『Summer day』(chelmico)

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 聞こえくる曲につい身体が反応するって、あるよね?

 今はありがたいことにそんな時にはShazam(アプリ)を立ち上げれば、即誰の何という曲なのか、教えてくれる。その性能たるや目を瞠(みは)るものがある。いわゆるAIてぇヤツらしいが、以前にはこんなものなかったのだから、ホント本居宣長じゃないですけど、まさに“古より後世のまされること”っすよねぇ。

 鍵盤楽器など、昔は一揃え最低500万はかかった。しかも“重い大きい壊れる”で、仕事の1時間ぐらい前にスタジオ入りしてセッティングだ。それが今やもう俺なんか9割方アプリよ。音質とかどれもノープロブレムだし、只みたいな値段だし、全然壊れない。良い時代になったものです。

 jpopの世界はどうなっているのか? 実はこの夏思わずShazamを起動せずにはおれない曲があった。それが『J-POPは終わらない』だったのだが、衝撃は、作詞作編曲、演奏及びトラック制作に歌唱もこなし、さらには素晴らしいブレイクダンスまでいとも易々と披露してみせるのが、弱冠16歳のSASUKEという少年だったことである。

 曲が流れてきた途端、エモーションズの『Best of my love』から、シェリル・リンの『Got to be real』、そしてマライア・キャリーの『emotions』へと続く、ディスコでは王道といっていいパターンをしっかりと踏襲しながら、上手くひと味を加えた作りの、手際のよさに耳を奪われた。そこからサビに持ってゆく流れがまた達者で、ライトな声質のラップの乗せ方にも新しさがある。こりゃ気にならない方がおかしい!

 改めて観る動画に実感させられたのが、身体能力というか運動神経のレベルの高さだ。先に述べたダンスのキレの良さはもとより、シンセ類を扱いながらのパフォーマンスのこれまた曲芸の域といっていい凄さに圧倒される。これは是非検索して見てみて欲しい。

 昨今の我が国では、米津玄師を筆頭に、川谷絵音やサカナクションの山口一郎らの作り手が、シーンを牽引しているようにも思え、後続の新人達には多かれ少なかれその影響が散見できるなか、今回のSASUKEの楽曲が異彩を放っているのは、そうした文脈にはない、極めて陽気な質感を誇っていることで、それはやはり旋律と和声の組み合わせ方や、或いはビート/リズムのもたらすもの、そうした部分への論理的な判断があったればこそのことと推測する。「思わず踊りだしたくなる」のも本当に久かたぶりなjpop新譜なのだがそれはともかく、自分が16の頃を思い起こせば、当時このような音楽家が現れていたのならば、“全地球規模の騒ぎ”になっていたと、つくづくそう思う。

 いずれにせよ、SASUKEの登場が指し示すものの意味は業界にとっては――例えば宇多田ヒカルぐらい? ――案外大きな気もするのである。

 chelmico。

 それこそ令和のスチャダラパーよねこの曲の夏っぽさ!

ちかだはるお/1951年東京都生まれ。ミュージシャン。現在、バンド「活躍中」や、DJのOMBとのユニット「LUNASUN」で活動中。近著に『考えるヒット テーマはジャニーズ』(スモール出版)。近作にソロアルバム『超冗談だから』、ベストアルバム『近田春夫ベスト~世界で一番いけない男』(ともにビクター)がある。

近田 春夫/週刊文春 2019年9月12日号

最終更新:9/18(水) 17:06
文春オンライン

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