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仲の悪い母娘の例で解説!来年4月施行「配偶者居住権」の凄さ

9/17(火) 11:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

様々な方面で取り上げられている、2020年4月の民法改正の施行。相続の観点では「配偶者居住権」に注目が集まっています。本記事では、相続争い防止にも効果的だという「配偶者居住権」の基礎知識を説明していきます。※本連載では、円満相続税理士法人の橘慶太税理士が、専門語ばかりで難解な相続を、図表や動画を用いてわかりやすく解説していきます。

配偶者居住権=自宅に住み続ける権利

2020年4月より、相続を取り巻く環境が大きく変わります。民法が改正され、新しく配偶者居住権(はいぐうしゃきょじゅうけん)という権利が認められるようになります。この改正は、他の改正とは比較できないくらい大きな影響がでると、筆者は予想しています。

その理由は、配偶者居住権を活用すると、これまで遺言だけでは不可能であったことが可能になり、相続争いの防止に非常に強い力を発揮するからです。

そこで、いち早く、配偶者居住権を活用した相続対策について学んでいきましょう。まず配偶者居住権の基本的な仕組みについてです。

ここに、4000万円の自宅と4000万円の預金を持った甲さんという人がいたとしましょう。甲さんには妻と、一人の娘さんがいます。残念なことに妻と娘はあまり仲が良くありません。そして、関係性が改善されないまま甲さんが亡くなってしまったとします。

妻はこれまで夫と暮らしてきた自宅については今後も自分が住み続けたいため「自宅だけは絶対に相続したい!」と考えていました。遺産の分け方は、妻と娘の間で合意をすれば自由に決めることができます。しかし、相続人である二人が合意をしなければいつまで経っても遺産を分けることはできません。

両者の意見が折り合わない場合には、法定相続分で遺産の分け方を決めることになります。妻と子供の法定相続分は2分の1ずつです。今回のケースでは、合計8000万円の遺産があるので、4000万円ずつ遺産を分けることになります。

ぴったり4000万円ずつ分けようとする場合には、妻は自宅を、子供は預金をすべて、という分け方になります。法定相続分に基づいた公平な分け方ではありますが、この分け方だと、預金を相続できなかった妻の今後の生活が成り立たなくなってしまう恐れがあります。

もっと大変なケースだと、財産が自宅4000万円、預金が1000万円、合計5000万円で遺産が構成されているようなケースです。この場合、法定相続分で相続しようとすると、2500万円ずつ、遺産を分けることになりますが、預金は1000万円しかありません。娘さんに残りの1500万円を相続させるためには、最悪の場合、自宅を売却しなければいけなくなるかもしれません!

高齢である妻が、住み慣れた自宅を売却し、新しい住まいを見つけるのは大変な話です。高齢者の方は比較的、賃貸物件を借りる際も審査が厳しい傾向にありますし、住み慣れない町に引っ越すことは非常に大きなストレスになると思います。

このような事態が起こらないようにするために、2020年4月から新しく認められる権利が、「配偶者居住権」です。この権利は、「相続が発生する前から住んでいた配偶者の自宅は、配偶者がその自宅の権利を相続しなかったとしても、ずっと住んでいていいですよ」というものです。

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最終更新:9/17(火) 11:00
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