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「自殺みたいな感覚」富野由悠季が語る未来と過去 『Gレコ』上映会トークショー

9/17(火) 18:25配信

アニメージュプラス

2019年11月29日(金)より2週間限定上映される劇場版『ガンダム Gのレコンギスタ Ⅰ』「行け!コア・ファイター」の特別先行上映が行われ、富野由悠季総監督が登壇。本上映会にて行われたトークショーの内容をお届けしたい。

【関連画像】『Gレコ』場面写真を見る(写真14点)


第41回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)にて開催された上映会の当日は、チケットを購入した一般客のみならず、ガンダムファンクラブを通じて招待された10歳~16歳の子供たちとその保護者の親子10組や、PFFからの呼びかけで集まった8歳~18歳の子供たちとその保護者の親子30組が鑑賞。
上映終了後のトークショーには、富野由悠季総監督と荒木啓子PFFディレクターが登壇した。

「未来の問題を子供たちに考えて欲しくてベルリとアイーダの物語を創った」という富野総監督。客席に集まった少年少女へ向けて本作へ込めた思いを語り、さらに寄せられた質問に回答した。
また、6月22日(土)~9月1日(日)まで『富野由悠季の世界』が行われていた福岡地域で本作の上映を望む声が数多く上がり、イオンシネマ福岡でも上映されることが発表された。

【トークショー概要】
◼️映画について
今日この場に呼んで頂いたことに驚いてもいるしあきれてもいます。
『ガンダム Gのレコンギスタ』という巨大ロボット物が、ここで上映されると思っていませんでした。でも本当のことを言うと当たり前だろ、と(笑)。25年遅いです(笑)。
アニメが一般化してる今の人はわからないかもしれないけど、アニメは映画ではないと言われ続けてこの50年過ごしてきました。だから映画界には恨みつらみしかありません。

でも、それがあったからここまでやってこられました。CMの仕事をしたりもしましたが、本気にはなれなかった。CMは監督のクレジットが出ないからです。巨大ロボットものでも、クレジットが出る作品を続けていれば、どこかで認めてもらえるかもしれないと思って続けてきました。

1950 年代、60年代のSF映画はすべて観てました。すべてと言っても5、6 本しかないんですけど。
それらを観ていて気付いたことは、設定やポスターの1枚絵がいくら面白そうでも、「劇」が面白くなければ面白い映画にはならないということ。
「劇」がとても重要な言葉で、巨大ロボットが2体戦闘するだけでは「劇」ではないんです。
「劇」をやるというのは人間、人間同士であいつが好きとかあいつが憎いとか、そういったドラマとしてのバランスが映画には重要なんです。だから『機動戦士ガンダム』は敵が宇宙人じゃなかった、人間同士の戦争を描いた時点である意味勝ちだったんです。

◼️『伝説巨神イデオン』について
この話はどこでもしたことがないんですけど、『機動戦士ガンダム』の後にやった『伝説巨神イデオン』は作品と心中する覚悟で作りました。
劇中の人間がすべて死ぬというのは最終手段で作家として一番やっちゃいけないんですよ。ただ、惑星間同士の対立をやった時点で全員殺すしかないと思った。だから『イデオン』をやっているときは、これが最後という自殺みたいな感覚がありました。

その後のことは考えてなかったし、考えてたら逃げちゃっていたと思います。『富野由悠季の世界』をやるために観直しましたけど、こんなの俺作れない(笑)。あれはまともな神経じゃ作れないですよ。

◼️劇場版『ガンダム Gのレコンギスタ Ⅰ』「行け!コア・ファイター」について
TV版の不足しているところを補って5本の映画にまとめています。なので最後のエンディングはTV版と全く一緒だけど至る道が全然違います。
TV版での作劇の破綻というものがあって、それは富野自身がよくわかっています。自分の作品の欠点はよほどバカじゃない限りわかりますよ。
TV版では一番肝心なベルリとアイーダの話が抜けてしまっていました。一目ぼれした女性だったけど、恋人を殺してしまったという関係で最後まで行ってしまったんですね。姉弟だと自覚したときの反応するシーンがドンと抜けてしまっていたんです。

それと僕は作品を通して世直しをしたい。でも世直しの方法論を示すことはできないんです。だから未来に起こる問題をテーマにしている。宇宙エレベータの技術的な問題やフォトン・バッテリーで表しているエネルギー問題を、そこでやっている劇を通して問題提起しています。それを観た子供たちが30年後、50年後に答えを出してくれるかもしれないと期待しています。
今日改めてこの作品を観てもあまり上手じゃない、一般的に伝わるように作られてないと反省はしています。

でももしこれを見て、5、6人でも伝わる人がいるならば『Gのレコンギスタ』という作品は50 年持つと思います。そのうぬぼれがないと作品を作れない。その自負心を持ってやっています。余命の問題もあるので再来年までには全5部作をやってほしいですね。
そして目が黒いうちに次回作に行きたいと思っています。
今日はお呼び頂きましてありがとうございました!

<キャスト>
ベルリ・ゼナム:石井マーク、アイーダ・スルガン:嶋村 侑、ノレド・ナグ:寿美菜子、ルイン・リー:佐藤拓也、ラライヤ・マンディ:福井裕佳梨、クリム・ニック:逢坂良太

<メインスタッフ>
総監督・脚本:富野由悠季
原作:矢立 肇、富野由悠季
演出:吉沢俊一
キャラクターデザイン:吉田健一
メカニカルデザイン:安田 朗、形部一平、山根公利
デザインワークス:コヤマシゲト、西村キヌ、剛田チーズ、内田パブロ、沙倉拓実、倉島亜由美、桑名郁朗、中谷誠一
作画監督:吉田健一、桑名郁朗
美術監督:岡田有章、佐藤 歩
色彩設計:水田信子
ディスプレイデザイン:青木 隆
CG ディレクター:藤江智洋
撮影監督:脇顯太朗
編集:今井大介
音楽:菅野祐悟
音響監督:木村絵理子
企画・製作:サンライズ

(C) 創通・サンライズ

アニメージュプラス 編集部

最終更新:9/17(火) 18:25
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