ここから本文です

日本の研究市場を救う?現役東大生が見つけた「ラボテック」の威力

9/17(火) 8:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 研究者の課題をテクノロジーで解決するスタートアップ・POLが勢いを増している。創業から丸3年、直近には総額10億円の資金調達も実施した。彼らが事業領域として掲げるのは、研究領域をテクノロジーで解決する「ラボテック」。特に、理系学生と企業のマッチングが主力事業だ。採用マッチングサービスは数あれど、POLは他社と一味違うアプローチが評価されている。その理由を聞いた。(ダイヤモンド編集部 塙 花梨)

【この記事の画像を見る】

 AI、機械工学、船舶、燃料可視化――理系学生専用のスカウト型就活サービス「LabBase」の検索画面には、学生たちが取り組む研究分野や専門領域をこと細かに分類したタグ(キーワード)が並ぶ。

 「理系学生が欲しい」という企業は数多くあるが、学生が大学で研究している分野は幅広い。そこでLabBaseでは、企業が求める専門性を持つ学生を、キーワードによってピンポイントに検索し、直接スカウトできる機能を提供しているのだ。

 学生にとっての負担も少ない。LabBaseに登録する際は、自分の研究内容をプロフィールとして打ち込むだけでいい。LabBaseが独自のデータベースと照らし合わせ、自動的に研究分野のキーワードを付与してくれる。学生がスカウトを受け入れれば、企業は直接学生とやり取りをして、少人数座談会やインターンなどの選考フローに持ち込める。

 LabBaseを提供するのは、東大発スタートアップのPOL。代表を務めるのは、現役の理系東大生でもある加茂倫明社長だ。

 「これまでは理系学生を喉から手が出るほど欲している企業があっても、教授や研究室からの推薦しか採用ルートがありませんでした。私たちのサービスでは、登録している理系学生の専門領域を詳細にマッピングしており、欲しい人材に直接アプローチできます」(加茂社長)

● 東大生と元ガリバー取締役、37歳差の創業者コンビ

 POLは、2016年に創業したスタートアップだ。9月17日には、第三者割当増資により総額10億円の資金調達を実施したことを明らかにした。引き受け先は、Spiral Ventures Japan Fund、サイバーエージェント(藤田ファンド)、BEENEXT Pte.Ltd、SMBC信託銀行。同社はこれまでにもDraper Nexus、Beyond Next Venturesから累計11億円超の資金を調達している。

 加茂社長は東京大学工学部に籍を置く現役の大学生。大学の研究室や学生と直接接点を持ちやすい環境を作ることができるため、POLの事業を進める上でも効率がいいという。

 POLの共同創業者は、個人投資家として活躍するガリバー・インターナショナル(現:IDOM)の吉田行宏元取締役。加茂社長とは37歳差のコンビだ。
 
「元々両親が大学職員だったので、小さい頃から研究室に出入りしていました。大学に入り、研究者の先輩や友達が困っているところを見て、研究領域の課題解決をしたいと思いました。偶然出会った吉田にPOLのアイデアを見せたら、『一緒にやろう』と言ってくれたんです。吉田は、“世界で活躍する経営者を育てれば、その経営者が優秀な経営者を育てていく”というポリシーで活動しており、私も今まさに育ててもらっています」(加茂社長)

● 「日本の研究力の低下」に対する危機感、で起業

 理系人材市場は3000億円。研究委託市場は2.28兆円におよぶなど、研究関連の市場規模は大きい。しかし、いまだに旧態依然とした商慣習が続いており、テクノロジーが入っていないのが実情だという。それが結果として、日本の科学技術の発展にブレーキをかけてきているのではないかと加茂社長は主張する。

 「科学技術力を表すひとつの指標である論文引用数で、かつては世界4位だった日本が、2019年には12位にまで下がったんです。こうなった原因には、研究者の待遇悪化や研究費不足、研究室の情報がブラックボックス化していることなどが挙げられる。ヒト・モノ・カネ・情報と、あらゆる分野で問題が残っています。それらを解決していきたい」(加茂社長)

 理系学生と企業をつなぐLabBaseは大きな目標を成し遂げるための1つのソリューションに過ぎない。最終的には、研究者の抱えるあらゆる課題を包括的に解決する、一気通貫のラボテックスタートアップを目指しているという。

● 本当に求める理系学生を探せるサービス

 さまざまな課題を持つ研究者の環境のうち、まず就職活動の課題解決を目指したのが、LabBaseだ。どこの研究室にどういう学生がいてどういうキャリアを持っているのか、キーワード検索するだけですぐにわかるもので、POLの主力事業になっている。

 登録社数は150社ほどで、大企業とベンチャーの割合は5対5だ。大学とのコネクションが弱いベンチャーが人材に困るのは分かるが、大企業でのニーズも多い。

1/3ページ

最終更新:9/17(火) 8:00
ダイヤモンド・オンライン

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事