ここから本文です

新装開業のホテルオークラ、「老舗のおごり」捨て富裕層争奪戦に挑む

9/17(火) 17:00配信

日経ビジネス

 ホテルオークラは9月12日、ホテルオークラ東京本館跡地に新しく「The Okura Tokyo(ジ・オークラ・トーキョー)」(東京・港)を開業した。旧本館の象徴だったロビーは新ホテルでも再現する一方、施設は41階と17階の2棟のビルに生まれ変わった。標準客室は従来の1.5倍に拡大し、広々とした空間を武器に高級路線を強める。2020年東京五輪・パラリンピックを前にして、首都圏では外資系の高級ホテルの建設が相次ぐ。日本の老舗ホテルとしてどう戦うのか。梅原真次総支配人に聞いた。(聞き手は白井 咲貴)

【関連画像】梅原真次(うめはら・しんじ)The Okura Tokyo総支配人。1983年ホテルオークラ入社。2010年オークラプレステージ台北開業準備室長、12年オークラプレステージ台北総支配人。15年にホテルオークラ東京本館再開発準備室長に就任し、建て替えプロジェクトを指揮する。19年6月からホテルオークラ東京専務兼The Okura Tokyo総支配人(写真:陶山 勉)

―ホテルオークラ東京の本館を建て替えて、新たに「The Okura Tokyo」を開業しました。その狙いは何でしょうか。

梅原真次総支配人(以下、梅原氏):ホテル業界は近年大きく変化しています。インバウンド(訪日外国人)が増え、外資系ホテルの参入も相次ぎました。外資の参入によって、変わったことの一つが客室面積です。外資のホテルでは客室面積が40m2以上あるのが普通で、それが業界に浸透していきました。一方、1962年に開業したオークラ東京のスタンダードルームは30m2程度。施設の一部を改装し、3部屋を2部屋にして面積拡大を図ったこともありますが、限界があります。老朽化も問題でしたし、耐震基準も現在のものに合わせる必要がありました。

 私たちは日本で一番のホテルを目指しています。施設の問題で、その夢がかなえられなくなるのは残念です。施設を新たにすることで、挑戦する体制を整えたかったのです。建て替え後は部屋の最低面積を47m2と、外資並みに設定しました。天井も従来より数十センチ高い3メートルにし、広がりのある空間にしています。客室の大型化に伴い、宿泊料金は従来の倍以上に設定しました。

―ハードを整えることに加えて、ソフトの質も高める必要があります。

梅原氏:今一度、開業当初のオークラらしいサービスを徹底したいと思います。開業してから50年以上がたち、若干緩んでいると感じていました。老舗ホテルとしておごっていたのかもしれません。改めて従業員に教育しています。

 オークラらしさとは、ほんの少しでいいから他のホテルよりも良いサービスを提供することです。顧客の目の動きや動作などから求めているものを察知し、顧客一人ひとりに合ったサービスを提供します。例えば、顧客が急いでいるのか比較的時間があるのかで、料理や飲み物を出すタイミングを変えるといったことを目指しています。

―業務の効率化についてはどう考えていますか。サービスの質の追求は重要ですが、ホテル業界の人手不足は深刻です。

梅原氏:顧客から見える部分についてはサービスの質を追求しますが、バック部門はITで効率化していきます。例えば、厨房。食材や冷蔵庫の温度管理は今までは人が担っていましたが、ITシステムを導入して、自動で測定し記録できるようにします。また、制服にはICチップを埋め込み、在庫管理の手間を省きます。こうした工夫によってバック部門のコストは3~4割削減できる見込みです。

1/2ページ

最終更新:9/17(火) 17:00
日経ビジネス

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事