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視覚障害でも働き続ける 70歳現役時代の乗り越え方

9/18(水) 7:47配信

NIKKEI STYLE

在職中に緑内障などの病気やけがで、視力が極端に弱まるロービジョン状態や失明状態になる人は、定年延長が浸透し70歳現役が現実になるこれから増える見込みだ。視覚障害を持った後も働き続けるため、個人はどんな支援や訓練を受けられるのだろう。相談手順などを探った。
東京都渋谷区にあるUSEN―NEXTグループのUSENの事務センター。網膜色素変性症で視野が約5度に限られる視覚障害者の福住美奈子さんが働いている。音声読み上げソフトを搭載したパソコンを使い、メールなどのデータ集計が彼女の主な仕事だ。
「霧の中にいるような見え方だが、文字は音声化ソフトで読むことができるし、集計はキーボード操作だけでできる」。現在40代の彼女の発病は30代前半。派遣社員として住宅ローン保証会社に8年勤めていたが、症状の進行で視野が狭まり、印鑑照合ができなくなって退職を決意。その間、視覚障害者支援のNPO法人「タートル」(東京・新宿)などで生活・職業両面の力を磨いて仲間もつくった。USENには合同面接会で採用された。
厚生労働省の調査によれば、視力や視野に障害がある人は全国に約31万5000人。うち2割が全盲状態で、8割が視野狭窄(きょうさく)や弱視などロービジョン状態にある。視覚障害の原因は緑内障、網膜色素変性症、糖尿病網膜症の3種で過半を占めている。
視覚障害を持った人がまず必要とするのは、歩行訓練や拡大読書器の利用など生活面のリハビリテーションだ。主治医や勤務先の産業医と相談して休職し、専門機関で自立訓練を受ける。代表は国立障害者リハビリテーションセンター(埼玉県所沢市)で、北海道函館市、神戸市、福岡市にも視力障害センターがある。
センターで受けられる自立訓練の内容は白杖を使って屋外を歩く歩行訓練、点字やパソコンの音声読み上げソフトを使ってのコミュニケーション訓練、日常生活訓練など。「本人の希望に応じ3~5カ月間、オーダーメード訓練をする。施設内に宿泊する人が多いが、通う人もいる」と下山敬寛視覚機能訓練課長。7月末時点で男性15人、女性4人が訓練中で11人がロービジョン、8人がほぼ全盲という。中心年齢は40~50歳で、訓練費用の自己負担割合は多くが1割という。
次に必要なのは仕事能力の訓練。対象は事務系業務ではエクセルやワードなどパソコンソフトを音声ソフトで操作する技術。これらは所沢市の国立職業リハビリテーションセンターや自治体の委託先の民間サポート機関で学べる。雇用保険から費用が出ることが多く、個人負担は基本的にない。同じ勤務先に復職する場合は、会社がどんな仕事を用意するかによって必要な技術は異なるだけに、それに合わせて選ぶ。
民間の視覚障害者就労生涯学習支援センター(東京・世田谷)はその一つで、東京都の委託で障害者個人向けの知識技能習得コースと、職場に在籍している障害者向けの在職者訓練コースがある。同センターの井上英子代表は「在職者向け講座の受講者は、30~50代で障害を得た人が多いが、障害者雇用促進法による障害者雇用枠で入社した新卒社員に教えることもある」と話す。
雇用保険による支援の特徴は、企業と本人双方が希望する場合、復職後も地域障害者職業センターから企業内に専門家が出向いて働き方や周囲の支援法について具体的な相談に応じるジョブコーチ制度があること。井上代表はジョブコーチも兼ね、昨年は26事業場に304回の支援をした。
USENの福住さんは「視覚障害者の症状は一様ではないが、パソコン作業以外にもできることはあると思う。企業はそれを理解して欲しい」と意欲的だ。
仕事を持つ人が視覚障害を得ればその社員は当然動揺する。そんな時、企業は自立と職業訓練の双方で、本人や産業医、官民訓練機関と密接に連携し、社員を支える必要がある。高齢社員の増加が確実なこれから、相談があった場合、対応の道筋を示せるくらいの備えが必要だ。
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最終更新:9/18(水) 7:47
NIKKEI STYLE

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