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お笑い芸人EXIT兼近、犯罪歴発覚でも好感度が落ちないワケ

9/18(水) 7:01配信

FRIDAY

ネットでは兼近に対する同情的な声が目立つ

今をときめく人気お笑いコンビ「EXIT」の兼近大樹に関する1本の記事が『週刊文春』2019年9月12日号に掲載されて、波紋を呼んでいる。

「吉本ブレイク芸人EXITがひた隠す少女売春あっせんで逮捕の過去」と題されたその記事では、兼近が過去に女子高生の売春あっせんの容疑で逮捕されていて、罰金刑を受けたことと、現金1千万円が入った金庫を他人の自宅から盗んだ疑いで逮捕されたことが報じられている。

記事の中では兼近本人のコメントも紹介されていた。兼近は売春あっせんを行ったことは事実だと認めた一方、窃盗事件に関しては「事情聴取はされたが逮捕はされていない」と報道内容を一部否認した。

また、犯罪歴が明るみに出たことについて、兼近は「正直嬉しかった」と語っていた。いずれバレることなので自分から言いたいと思っていたのだが、所属事務所から口止めされていたため、公にすることができなかったのだという。

この報道に関して、ネット上では兼近に対する同情的な声が目立つ。特に、EXITや兼近のファンの大半は、潔く罪を認めた本人の態度を高く評価していて、犯罪歴を暴き立てた『週刊文春』側の報道姿勢を非難している。未成年の女性の売春あっせんに携わっていたというのは、社会的にはそれほど軽い罪ではないようにも思えるのだが、兼近がこれほど擁護されているのはなぜなのか。

EXITは服装も言動もひたすら軽いノリの「チャラ男キャラ」で世に出てきた。だが、『ゴッドタン』(テレビ東京系)に出演したとき、先輩芸人であるおぎやはぎと劇団ひとりの手によって、全然チャラくない真面目な素顔をあぶり出されてしまった。「チャラ男」というキャラが認知されるより先に、「実は真面目」という素顔の部分の方にスポットが当たったのだ。

兼近は酒も飲まないしタバコも吸わない。女遊びどころか恋愛経験も少なく、そもそもチャラいところのない人間だった。ベビーシッターのアルバイトをしていて子供好きの一面もある。相方のりんたろー。も老人ホームで介護のアルバイトをしていたこともあり、根は真面目な好青年である。

彼らはそのチャラい外見とは裏腹に「コンプライアンスゴリ守り芸人」を自称している。暴言を吐いたり不祥事を起こしたりするのは絶対にNG。2人とももともと組んでいたコンビの相方が不祥事を起こし、解散を余儀なくされた過去を持っているため、芸人として真面目に仕事をすることの重要性を身にしみて分かっているのだ。

◆「M-1」のような賞レースにさほど興味なし

兼近は実家が貧乏で苦労人だったことでも知られている。子供の頃には極貧生活を送っていて、空腹時にはティッシュにマヨネーズをかけて食べていたこともあった。クリスマスの日にはプレゼントをもらえず、「サンタです。来ました」という手紙だけを受け取った。クリスマスケーキを買うお金もなかったため、夜空の星の輝きをろうそくの光に見立てて、空に向かって息を吹きかけていた。

そんな兼近は、家計を支えるために中学卒業後は定時制高校に通いつつ、朝は新聞配達、昼は建設現場で働いていた。だが、それだけではお金が足りなかったため、高校を中退して仕事に打ちこむことになった。今回、明らかになったのも、そんな貧しい下積み時代に起こした事件だった。

極貧生活を振り返るときも、自らの犯罪歴について語るときも、兼近はいつもカラッとしていてポジティブだ。見ている人を自然に勇気づけるようなその明るさが好印象を与えている。

また、兼近はお笑いの伝統に縛られない自由な考え方を持っている。例えば、『M-1グランプリ』などのお笑いコンテストでは「古き良きもの」が奨励されているような気がして、自分はそこに寄りかかりたくはない、という趣旨のことを話していたことがある。

多くの若手漫才師は『M-1』に出ることを大きな目標にしているのだが、兼近はそこに縛られず、今の観客に向けて面白いと思ってもらえるものを作ることにこだわっている。

昨今の吉本騒動に際しても、兼近は自身のツイッターで「チャラ男なのでこれで変わらない会社ならとんじゃうよーー」「会社から芸人にしっかり説明求む!」などと、事務所に対して率直なメッセージを発信していた。所属事務所の不祥事に関しても、悪いものは悪いと断じるその姿勢は勇敢で大胆だ。

ファンの間では、そんな兼近の明るく強く柔軟なキャラクターが愛されている。過ちを犯した人がいつまでも責められる世の中は息苦しい。芸人としての兼近の生き様は、一度間違った道に進んだ人がどのように更生するべきなのかを見せてくれる格好のモデルケースとなっているのだ。

文:ラリー遠田
作家・ライター、お笑い評論家。お笑いやテレビなどの評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)など多数の著書をもつ。公式サイト:http://owa-writer.com

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最終更新:9/18(水) 7:01
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