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巨人・丸佳浩の究極の打法「ツイスト打法」は苦肉の策だった?/川口和久WEBコラム

9/18(水) 11:14配信

週刊ベースボールONLINE

球界の常識を変えるツイスト打法?

 ここまで来たら、もう断言でいいだろう。
 もうすぐ巨人の優勝が決まる。5年ぶりのVだから俺がコーチをクビになった2014年以来だ。あのときCSで巨人を破ったのは阪神だったが、あの年の最多勝だったメッセンジャーが引退するんだから、5年というのも短いようで、長いな。

 9月10日からのDeNA─巨人3戦目は、セのいわば最後の天王山だったが、俺は12日の試合で解説があり、横浜に行っていた。
 前日、ソトに3発食らって負けていたんで、試合前の原辰徳監督に「ソトは抑えられなかったんですか」って聞いたら、「そんなのバッテリーコーチに聞けよ」ってそっけなく言われた。
 ただ、表情には余裕があった。あの3連戦、原監督の中には1勝2敗でもいいという頭はあったと思う。

 だってクックが先発だからね。試合を見て、「3、4回なら使えるな」とは思ったが、緊急手段には間違いない。

 確かにリーグ優勝は確定としても、先発陣に関しては首位を独走するチームとは思えないほど厳しい。さすがの原監督もCSは不安も多いだろうな。
 短期決戦は、信頼できる先発の頭数がそろうかどうかが大きいからね。

 打線は相変わらずいい。特に三番の丸佳浩だ。彼は「自分が、自分が」ではなく、周りを光らせる力がある。
 12日は、彼のすごさをあらためて感じた。例のツイスト打法だ。スイングの際、腰を逆方向に回してヘッドスピードを上げようというもの。ビハインド・ザ・ボールってゴルフ用語だと思っていたが、野球でも通用するようになったんだね。

 ふつうなら「アッチ向いてホイ」打法となるところだが、幸いかどうか知らないけど、阿部慎之助が、かつて同じことをやって「ツイスト打法」という名前がついていた。
 俺が巨人のコーチをしていた時代だったので、慎之助に「どういう効果があるの?」と聞いたことがある。
「腰をキャッチャー側に回せば、ヘッドが先に行くんですよ」
 と言われ、「ああそうなの」と答えた記憶がある。
 ゴメン、そのときはあまり関心なかった。その打法じゃなくても慎之助は打っていたからね。

 スイングの際、もちろん最終的には開くんだけど、早めに腰を開いて体を回すタイプは、バットがどうしても遅れて出て、インコースに詰まって、外の球には届かなくなる。
 俺たち投手は、いかに早めに体を開かせるかが1つのテーマで、そのためにインコースを攻める。インコース、特に高めは、多少は体を開かないと距離が取れない。それを意識させ、外を投げるのが定番でもあった。

 ただ、今は投手の球がストレート、変化球とも速くなっている。左打者であれば、サウスポーの好投手、あの試合なら今永昇太やエスコバーの外に逃げるような角度の球には、なかなか間に合わない。カットボールやスライダーがいいコースに決まれば、バットが遅れ、ファウルがやっとじゃないかな。

 それで丸も考えたんだろう。
 おそらく右投手にはしないと思う。左でも甘い球ならそのままで行き、対左投手の外角で「遠い」と思ったとき、腰をツイストさせてヘッドスピードを上げて対応するというかな。

 俺は打者じゃないから、はっきりとは分からないが、単純にバットを速く振るということだけを追求するなら筋力のある外国人選手が有利になるが、必要なのがボールをとらえるときのヘッドスピードのみと考えれば、ゴルフじゃないけど、非力なタイプでも、やりようはある。
 ツイスト打法って、かなり革新的なスイングなのかもしれないね。

 実は、その後、丸と話す機会があったので聞いてみた。
「おい、すごい打ち方してたな」
 そうしたら、
「いやあ、あのときはあれしかなかったんですよ。苦肉の策でした」
 と言っていた。いつも慌てる様子がまったくない男だけに「あれしかなかった」という言葉を聞いて少しびっくりした。

 今季の丸は、得点圏打率が際立って高いわけじゃないけど、ここで打たないと試合に勝てないという究極の場面で究極の仕事をしている印象がある。

 すごい選手だね。貢献度の高さは、大きな丸、いや三重丸の三ツ星だ。
 しかもスイーツ打法でしょ、三ツ星の丸獲得は、巨人にとって本当においしかったな……いや、違ったツイスト打法か。
 これはさすがに滑ったかな……。俺のギャグ(ダジャレ?)も丸のバットみたいに確率を上げていきたいんだけどね。

写真=BBM

週刊ベースボール

最終更新:9/18(水) 12:35
週刊ベースボールONLINE

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