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あえてアドリブ 映画『台風家族』で見た草彅剛の“ジャニーズ愛”

9/18(水) 16:01配信

FRIDAY

9月6日から3週間限定で劇場公開されている映画『台風家族』。公開6日目で、興行収入1億円を突破。公開2週目となる14日には全国89館において生中継舞台挨拶付き上映が行われた。見終わった観客からは「何回見ても新しい発見がある!」といった声も上がっている。

【写真】稲垣、草彅、香取が新幹線移動で見せたファンへの神対応

主演する草彅剛にとっては『中学生円山』以来、6年ぶりの単独主演映画。しかしここまでの道程は長かった。

「今年の2月、共演する新井浩文が強制性交罪で逮捕。起訴された影響で6月の公開予定が延期され、お蔵入りも囁かれていました。配給元のキノフィルムズは『事件と作品は別』と判断して再編集なし、ただし3週間限定での公開に踏み切りました」(ワイド番組関係者)

草彅自身も「声を届けてくれたファンの方に感謝したい」とした上で、「人生を左右するほど大切な映画」と作品への思いを語っている。

今年2月には稲垣吾郎主演の映画『半世界』、6月には香取慎吾主演の映画『凪待ち』が公開され、二人共ジャニーズ時代とはひと味もふた味も違う重厚な演技を見せていただけに、草彅自身の心中も穏やかではなかったはずだ。

「この映画は、両親が銀行強盗で強奪した2000万円と共に失踪。10年後、時効成立。実家に集まった4兄弟が遺産分与を巡って醜い争いを繰り広げるブラックユーモア溢れる作品。草彅は鈴木家の長男・小鉄役を演じています」(映画誌記者)

撮影は去年の7月、県内史上最高気温39.2度を記録した栃木県栃木市藤岡で行われた、まさに真夏の狂宴。しかも撮影の8割が空調も効かない一軒家の中。灼熱地獄の舞台で、草彅、新井浩文、MEGUMI、中村倫也の4兄弟がパッションをぶつけ合う。

草彅本人も、
「クーラーが効くスタジオだと、もうちょっと頭を働かせて”こういう演技しようかな”と考えてしまう」「撮影現場が暑くて頭が働かなかった、逆にそれが良かった」とコメント。「これまで演じてきた役の中で、一番自分が出せた」

と自信のほどを覗かせている。

しかし、この演出には、監督のしたたかな狙いが隠されている。

「主人公・小鉄を演じるに当って市井昌秀監督は『(草彅の中に)小鉄はいるから、作り出そうとしなくていい』『役の小鉄ではなく、草彅が演じる小鉄が見てみたい』とリクエスト。真夏のとてつもない暑さ。ほぼ順取り(脚本の順番通り撮影)の上に長回しを多用したことで、草彅本人の生身の人間の魅力が滲み出ていました」(制作会社ディレクター)

しかも今回のテーマは”遺産相続”。身近な問題を描いている分、どこまで自分を出すのか、出し過ぎても間延びしてしまう。その辺りのさじ加減が難しい。金に汚く、娘からも”サイテー”と呼ばれるグズ男の小鉄が、最後には”愛すべき男”に見えてくる。緻密に描かれた脚本もさることながら、草彅自身の新しい魅力も十分楽しむことができる。

その中でも見逃せないのが、長男・小鉄のダメっぷりを象徴する”クズで結構ダンス”だ。

「中村倫也演じる末っ子のユーチューバーの千尋が、家族の騒動を盗撮して世界中に配信していたことを知った小鉄(草彅)が、カメラに向かって”サイテーで結構♪ゲスで結構♪クズで結構♪”と歌って踊り、家族を唖然とさせるシーンは圧巻。監督は撮影前日にダンスについて打ち合わせをしたかったようですが、草彅はそれを拒否。あのダンスは、完全にぶっつけ本番のアドリブなんです」(前出・映画関係者)

しかし、そうまでしてなぜ、草彅は”アドリブ”にこだわったのか。
そこには今年亡くなった、ジャニー喜多川さんへの熱い想いがあった。

東京ドームで「ジャニー喜多川さんのお別れの会」が行われた9月4日、「台風家族」の先行上映会が大阪で行われ、登壇した草彅は時折声を詰まらせ、

「ダンスを踊るシーンがあるんですけど、『YOUやっちゃいなよ』精神で、その場で考えて踊っています。小さい時からポーンとステージに出されてやってきている僕らなので。そういうところも見てやってください」と撮影秘話も明かしている。

撮影は一発OK。天国のジャニーさんも「YOU 最高だよ」と、微笑んでいるに違いない。

ジャニーズ事務所を退所して2年半がたち、「新しい地図」を取り巻く環境も大きく様変わりつつある。

「3人は、15日にロックバンド『氣志團』が主催する野外フェス『氣志團万博2019』に参戦。その模様が地上波のニュースで取り上げられるなど、公正取引委員会からジャニーズが注意を受けて以来、風向きが明らかに変わっています。稲垣主演の『半世界』、香取主演の『凪待ち』は共に地上波での番宣活動ができず、『台風家族』も3週間限定上映と3人の主演映画はいずれも興行収入の面では苦戦。しかし作品の評価は高く、映画祭で大きな賞を獲るようなら、地上波完全復活の可能性も充分ありますよ」(ワイド番組関係者)

草彅自身が「人生を左右するほど大切な映画」と語る、映画「台風家族」。「新しい地図」の3人の挑戦は、いよいよこれからが本番だ。

文:島右近(放送作家・映像プロデューサー)
神奈川県出身。バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ヶ原で死んでいた』(竹書房新社)を上梓

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最終更新:9/18(水) 18:55
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