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「サーベイ・フィードバック」で組織の現状を見える化し「組織開発」の起点に

9/18(水) 11:50配信

政治山

個人、組織の「エッジ」

 個人でも組織でも、変わりたくても変われないことがある。仕事柄、自治体職員や地方議員の方々に接する機会の多い筆者も、現場でよくその葛藤を目にする。アメリカのアーノルド・ミンデルが創始した、個人やグループ、組織の変容を促す「プロセス志向心理学(プロセスワーク)」の中に、「エッジ」という概念がある。その人の慣れ親しんだ感覚に近い体験、よく知っている体験の領域、自分が知っている自分(「1次プロセス」)と、その人が不慣れな感覚に近い体験、未知の体験の領域、自分が知らない自分(「2次プロセス」)とを分断している境界がエッジである。

 エッジは切り立つ崖のようなものである。エッジには、これまでの人生経験から学んだ価値観や信念、思い込み、囚われが大きく影響している。例えば、私は小さい頃から絵が苦手だったこともあり、絵やイラストを描くことは居心地が悪く、エッジを感じてしまう。

 同様に組織にもエッジがある。善かれ悪しかれその組織が持つ組織文化といったものが1次プロセスであり、その組織のメンバーが抵抗を感じる思考、行動パターンが2次プロセスである。自治体組織の場合、国への依存、前例踏襲、管理思考などが1次プロセス、地域の自立、変化への適応、経営思考などが2次プロセスであり、この間には高いエッジが存在する。どうしても、現状の居心地の良さを享受し続け手放したくないと思い、また変化に伴う痛みを怖れてしまう。

 エッジを越えるには、2つの方法が考えられる。一つは、エッジの手前、既知の状態、慣れ親しんだ状況に留まることによる個人、組織の損失を深く感じ、気付くことである。もう一つは、エッジを越えた先、未知のもの、馴染ないものを明確に意識し、その可能性を信じワクワクするような未来を描くことである。

「組織開発」と「サーベイ・フィードバック」

 最近、職場や組織を良くしていきたいと思う人たちの間で、「組織開発」という言葉が注目されている。「組織開発」の定義には様々あるが、立教大学経営学部の中原淳教授は、「組織を機能させるための、内外からの働きかけ」と定義し、痛みを伴うグループの学習、変化だとしている。また、組織コンサルタントの加藤雅則さんは、「経営トップから現場職員に至るまで、対話を重ねていき、自分たちの見方や前提を見直し、探求することで、一人一人の行動や考え方が変わること」とより具体的に定義している。

 日本における「組織開発」の大家である南山大学の中村和彦教授は、組織開発の基本的なステップとして、「見える化」「ガチ対話」「未来づくり」の3つを上げている。「見える化」のステップでは、組織の現状、特に目に見えにくい組織の人間的側面で起きていることを、インタビューやアンケートなどを通してデータ収集、そのデータ分析を行い、フィードバックすることで、組織の捉え方や感じ方の違いを浮き彫りにする。

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最終更新:9/18(水) 11:50
政治山

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