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創造の自由ってなんだ? 作曲家・藤倉 大が手がける “ボンクリ・フェス”

9/18(水) 23:34配信

T JAPAN web

大友良英が世界初演の楽曲で参加

 作曲家という仕事の魅力を問うと、藤倉 大さんは間髪をいれずに答えた。「人の言うことを聞かなくていい。それがいちばん」
 幼い頃に曲をつくり始めたのも、同じ思いからだった。ハイドンもベートーヴェンも、嫌いなところはすっ飛ばしたり変えたりして好き勝手に弾くので、いつもピアノの先生に叱られた。「譜面と鳴っている音が違うから、間違いだと言われる。『だったら、自分で曲を作れば、誰にも怒られない』と思ってやってみたら、そっちのほうがおもしろくなっちゃって」。藤倉さんは楽しそうに振り返る。大変だと思うことはあっても、作曲を苦痛と感じたことは、一度もないそうだ。

 冒頭の言葉は創造の自由を指しているのであって、藤倉さんは孤高の作曲家どころか、世界中にいる多くの音楽仲間から信頼されている。演奏者が決まっている委嘱曲を書くときは、二小節だけ書いたものを相手に送り、それを演奏したものを録音して送り返してもらい、それをもとにビデオ通話で話し合う、という作業を繰り返す。こうして、演奏者が無理なく最高のパフォーマンスができる方法を考え抜くのだ。「舞台に立ち、相当な緊張のなかでやる演奏家を、心配させたくない」と藤倉さんは言う。「ベストを尽くしたのに、変に弾きにくく書かれているから失敗したら、演奏家は二度とその作品を弾きたくない。それだと、初演で終わっちゃうじゃないですか」

 藤倉さんは、ひとつの質問に対して実に多くの言葉と情報を語り、その口調は早く、熱い。「関西人ですから、『人を楽しませなくちゃ』という思いが強くて」と藤倉さんは言うが、それだけではないだろう。熱量も好奇心も想像力も、子ども時代と変わらないから、新しい音楽を生み出すことができるのではないか。

 今年で3回目を迎える「“Born Creative” Festival(略称ボンクリ・フェス)」(2019年9月28日、東京芸術劇場)は、藤倉さんがアーティスティック・ディレクターを務めている。‘Born Creative’とは「人間はみんな、生まれつきクリエイティブ」という意味だ。コンサートホールで開催されるスペシャル・コンサートのほかに、電子楽器の工作教室や、アーティストたちによるワークショップやライブ(一部は無料)など、赤ちゃんから参加できる盛りだくさんの音楽イベントだ。

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最終更新:9/19(木) 0:01
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