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EV本体より長寿命なバッテリーを開発中、テスラの研究者らの論文から明らかに

9/18(水) 12:11配信

WIRED.jp

カリフォルニア州パロアルトにあるテスラの本社で今年4月、イーロン・マスクは集まった多くの投資家たちの前に立っていた。この招待者限定のイヴェントでは、マスクから相当に大胆な見通しが語られた。テスラは2020年の半ばまでに、完全自動運転となる「レヴェル5」のタクシー100万台を顧客に届けるというのだ。ちなみに現時点ではレヴェル5の自律走行車は、1台も実用化されていない。

なぜ電気自動車は、寒いと性能が落ちてしまうのか?

これに対して、マスクのもうひとつの“予言”は、実現に向けて動き出しつつあるようだ。このイヴェントでマスクは、少なくとも走行距離が100万マイル(約160万km)までは大きなメンテナンスが不要な電気自動車(EV)を、近いうちにテスラで生産し始めると語ったのである。

このマスクの“予言”は、ある論文を見る限りは実現可能なものになっているかもしれない。カナダのダルハウジー大学の研究者で、テスラのバッテリー研究グループのリーダーを務めるジェフ・ダーンらが、その詳細を米国電気化学会の『Journal of the Electrochemical Society』に掲載された論文で解説しているのだ。

クルマ本体より長寿命なバッテリー?

バッテリー研究の第一人者としても知られるダーンらは、この論文において新型のバッテリーの実験について報告している。このバッテリーはEVを100万マイル以上走行させたあとでも、ほとんど容量が減ることがないという。しかも理想的な条件下であれば数十年は利用可能で、200万マイル(約322万km)近くを走れると謳っている。

「このタイプのセルはEVを160万km走行させることができ、電力網におけるエネルギー貯蔵用に少なくとも20年は利用できると結論づけられる」と、ダーンと共著者は論文で述べている。

これほど長く利用できるバッテリーなら、特に大型トラックやタクシーなど、通常のクルマよりもずっと長距離を走る車両に向くはずだ。さらにバッテリーのエネルギーを電力系統に戻せるようにすれば、EVが動く電気貯蔵庫のように機能することになる。この件についてテスラにコメントを求めたが、回答はなかった。

バーミンガム大学教授のデイヴィッド・ベイリーは、この技術が量産車に応用されることになれば、恩恵を受けるのは長距離を走る電気トラックのドライヴァーにとどまらないと指摘する。「そのバッテリーで本当に100万マイルを走れるとすれば、クルマ本体より長持ちするということです。先の見通しがずっと立てやすくなり、多くの人がEVを選ぶ動機になるかもしれません」

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最終更新:9/18(水) 12:11
WIRED.jp

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