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【ヒットの法則03】2世代目ボクス夕ーは初代からの流れを尊重しながら見事なばかりに進化していた

9/18(水) 18:30配信

Webモーターマガジン

初代ボクス夕ーが作り上げたアイデンティティをしかっり踏襲

2004年にはポルシェ ボクスターがフルモデルチェンジして第2世代へと進化している。いまやミッドシップスポーツカーとして確固たるポジションを得ているボクスターだが、この2世代目はどんなモデルと評価されていたのか、振り返ってみたい。(以下の試乗記はMotor Magazine 2005年1月号より)

【写真】リアビューやインパネ、シートなどを見る

部品点数にして50%から55%は同じアイテムを採用。誕生以来初めてのフルモデルチェンジを経験した新型ボクスターは、予想通り新型911と色濃い血縁関係を持つモデルだった。

1996年にリリースされた初代ボクスター。それは、まさにポルシェにとって社運を賭けた1台と言えるモデルだった。ついに往年の空冷式エンジンに別れを告げ、ボデイパッケージも新たなミッドシップレイアウトを採用。しかも、そこには翌年デビュー予定の新しい911と、可能な限りシェアし合うという合理性も要求されていた。

何しろ、当時のポルシェ社は、その業績の不振ぶりから内外の大手自動車メーカーヘの身売り説がまことしやかに囁かれていた状況。限られたリソースのら最大限の収益を生み出すために、新規モデルとは言え、そこでは可能な限り他モデルとの部品の共有という、合理化の道を選ぶことが必然だったのだ。

しかし、今のポルシェ社が置かれた状況は大きく異なる。初代ポクスターと水冷化が図られた911(996)はいずれもクリーンヒットとなり、さらに、ポルシェが「91lとボクスターに続く第3のレンジ」と表現をするカイエンも目覚しい売上げを記録し、結果として同社の歴史上、空前の業績を記録することになった。そう、今やポルシェは新型車を開発するのに潤沢過ぎるほどの資産を蓄える。それがまず、初代ボクスターの開発時とは大きく異なる状況だ。

そうした成果はまず「顔」に現れた。従来型ではその合理化政策ゆえに911との共用が求められたフロントマスクは、新型では晴れて専用デザインが認められている。ダッシュボードも同様だ。従来型では91lとの間で多くアイテムの共有化が余儀なくされていたインテリアも、ダッシュボードに専用のアイテムを用いることで独自の雰囲気を演じとに成功している。とくにこれらは、ポクスターよりも911のファンにとって大きな朗報であったはず。何しろ、ポクスターと911とではやはりその売価が大きく異なる。「なのにどうしてポクスターと同じモノをノ」というのが、多くの911ファンにとっての偽らざる感想であったからだ。

一方で、新しいボクス夕ーの工クステリアデザインに関しては疑問も残ることになった。「せっかくフロントマスクの装いをここまで変えたのであれば、全体的な雰囲気でももう少し新鮮味を醸し出して良かったのではないか?」というのがそれだ。中でも、リアビューに関してはそんな思いが強かった。というのも、下手をすると従来型との間に区別が付きにくいほどに、新型のルックスはこれまでのイメージを強く受け継いでいる。

が、どうやらそうしたキープイメージの戦略は、ポルシェにとっては確信犯的なものであったようだ。なぜなら「今に続く911の強固なプランドイメージは、これまで40年以上に渡って連綿と築き上げてきたもの。一方でボクスターは誕生してまだわずかに8年。911同様のブランンドイメージを築き上げるためには、まだまだ初代モデルが創り上げたアイデンティティを踏襲して行くことが必要」と、新型ボクスターの開発陣はコメントする。

「だとしてもノ」と、このクルマのルックスに関して、まだ食い下がりたい気持ちもないではなぃ。けれども、このところのポルシェの業績絶好調は、彼らがこうして描いてきたセールスのシナリオがことごとく的中してきた故というのもまた事実だ。見た目の新鮮味という点にかけては、ちょっと不満に思う人もいることだろう。が、それもポルシェの戦略なのだと知れば、やはりここは「それならひとつ、お手並み拝見」と受け止めざるを得ない。

かくも先代の印象が強いエクステリアに対し、ダッシュボードのデザインが一新されたことにより、インテリアの雰囲気は大きく変わった。空冷時代のモデルをも彷彿とさせるややクラシカルなシェイプに「戻った」新型911のダッシュボードのデザインに比べると、ボクスターのそれはよりラウンディッシュで明るくモダンな印象を放つ。

メーターパネルのデザインも一新された。それでも明らかにポルシェのメーターだと感じられるのは、何よりも視認性に優れた中央の特等席に大きなタコメーターを配するという基本的なレイアウトによるところが大きいだろう。「向こう側が抜けて見える」プリッジ型のメーターバイザーのデザインは従来型からの踏襲。ただし、そこにメッシュカバーが与えられたのはこれまで見られなかった新手法だ。

個人的には従来型の居住性にも不満を覚える部分はなかったが、「大柄な欧米人の一部からは空間がややタイトという意見を受けた」ということから、居住空間の拡大が図られた。具体的には、「フロントのバルクヘッド・クロスメンバーの断面積を新製法によって縮小することで足元スペースを拡大」し、「シートポジションをより低く設定することでヘッドスペースを拡大」といったあたりがここに相当する。

シート内蔵型のサイドエアバッグに加え、ドアトリム上部にエアバッグを内蔵して側突時の保護機能を進化させた構造は「オープンカーとしては世界初」とのこと。一方で「退歩」と思えて仕方がないのは、一度車外に降りないと折り畳めないドアミラーの構造。電動格納式を望むのは贅沢としても、せめて着座状態から畳めるデザインが欲しかった。少なくとも従来型はそうした構造になっていたのだから。

ちなみに、スペアタイヤを廃して修理剤を搭載することで、フロントのトランクスペースは従来の130Lから150Lへと拡大。少なくとも、ミドルサイズのスーツケースをすっぼりとトランクルームに飲み込んでしまうミッドシップの2シーターモデルというのを、ぽくは新型のボクスター以外に知らない。Z字型のユニークな動きで所要時間わずかに12秒。ボクスターならではのスマートなソフトトップの開閉法は今回も踏襲された。

ただし、そんなソフトトップそのものの構造は「マグネシウムを主体とした超軽量構造へと全面変更」とのこと。50m/hまでのスピードであれば開閉動作を継続する。ただしウィンドウフレームヘのロック/アンロック動作は手動で残された。理由のひとつは「ロック機構の自動化は、意外な重量増にもなってしまうから」とのこと。

パワーアップしたエンジンを5kg以上軽量化し、前後のトランクリッドもアルミ化するなど、並々ならぬ「軽さへの挑戦」を行っているのも今回のモデルの特徴なのだ。

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最終更新:9/18(水) 18:30
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