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氷河は溶けるのか : 福祉政策と連携を模索する就職支援

9/18(水) 14:57配信

nippon.com

神林 龍

政府はいわゆる「就職氷河期」世代に対する3年間の集中支援プログラムを策定。同世代から正社員を30万人増やすことを目標に掲げる。しかし、本当に必要なのは「氷河期」とひとくくりにした対策ではなく、就業できずにいる人の個別の要因に向き合うことである。

氷河は溶けるのか?

とはいっても、地球温暖化がフェイクニュースだという話ではない。日本の労働市場の話である。バブル崩壊後しばらくして日本の労働市場の状況が悪化した1993年~2004年ころ新規学卒として就職活動にいそしんだ世代を、いわゆる「就職氷河期世代」と呼ぶ。新卒で「正規」の職に就くチャンスを逃し、非正規社員として不利な立場に置かれてきた彼らをいかに支援するかが、社会的な課題となっている。

最初の就職先が人生の明暗を分ける?

もともと、日本の労働市場は「二重構造」であると指摘されてきた。典型的には、大企業などの「恵まれた企業」と中小企業などの「恵まれない企業」にある構造的な差を意味する。

日本では転職が活発ではないこともあり、最初に就職する企業間の差がそのまま被用者間の差に転写されてしまうと考える識者は少なくない。給与水準のみならず、若年時に必要なさまざまな経験をする機会に差がついてしまうのであれば、学卒時に運悪く「恵まれた仕事」に就けなかった人は、キャリア全体にその影響が及んでしまうことは容易に想像できるだろう。本人の能力うんぬんの前に、永続的に不利な立場に置かれ、そのまま凍りついてしまうかもしれないのである。

バブル崩壊後、1980年代の円高不況時を超える完全失業率を記録したのが1995年8月(3.2%)、4.0%に届いたのが98年4月である。この後も失業率は悪化の一途をたどり、2002年6月には5.5%に達する。06年11月に4.0%までようやく戻ったと思ったのもつかの間、リーマン・ショックによって、09年7月には再び5.5%を記録した。東日本大震災もあり、4%を切るのは13年6月を待たなければならなかった。

政府の報告書等では、1993~2004年に卒業した世代に注目が集まっているが、もう少し広く、1990年代後半以降、15年間前後の不況期に労働市場に出なければならなかった学卒者は、初職で恵まれた仕事に就ける可能性はどうしても低くなる。そして彼らは現在30~40代を迎えている。

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最終更新:9/18(水) 14:57
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