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誰も欲しがらない…バブルのリゾートマンションが「負」動産に

9/18(水) 11:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

相続のときに、トラブルの元になりかねない不動産の問題。司法書士である近藤崇先生が、バブル時代に購入した別荘・リゾートマンションが「負」動産になってしまうケースについて解説します。

相続で「誰も欲しがらない」地域の不動産とは?

司法書士として相続に関わる仕事をしていると、「またこの地域の不動産か」と頭を悩ませてしまう地域がある。司法書士がやっているので、別に相続で揉めているわけではないのだが、相続人の誰もがほしがらない、譲り合う、押し付けあう…。売却しようにも、そもそもタダでも売却できない。買い手が付かない。こんな不動産が近年増えてきたように思える。

お住いの方には大変申し訳ないが、いち司法書士の個人的な印象では、下記の地域の不動産の処分で、相続人が頭を悩ませるケースが多いように思える。


●房総

●伊豆

●湯沢

●那須・那須塩原

●富士五湖周辺

あらかじめ断っておくが、これらの地域が嫌いなわけでも、行きたくないわけでもない。観光やレジャーで行くなら素晴らしいところだし、実際に家族で行ったこともある。しかし、ことさら不動産の流通という面でいうと致命的だ。

0円でも売却できない!?「貧乏神」のような不動産

最近、弊所が遺言執行者を受任した案件で、印象的なケースがあった。

亡くなったのは90代の女性。夫はすでに他界しており、子どもがいなかったため、遺言がないまま亡くなってしまうと兄弟全員、兄弟が亡くなっている場合すべての甥姪が相続人となる。相続人が多すぎて収拾がつかなくなるため、生前に遺言書を作成しておいた。主な遺産はマンション1室の不動産と、3000万円ほどの預貯金だ。

ここまでは弊所の業務でも、よくある話だ。遺言の内容は、預金も不動産も全て現金化して、財産を比較的近しかった甥姪3人に3等分にして残すというもの。現金は30万でも3億でも3等分すればいいので、問題にならない。問題になったのは「不動産」だ。

この女性が所有していたのは、バブル期に不動産業者に勧められるままに購入したリゾートマンション。先述の地域にあり、コンシェルジュが常駐し、温泉などの施設もあるため、管理費はワンルームマンションに近い広さにもかかわらず、月6~7万円かかる。女性は老人施設に入っていたためほとんど利用はしていない。このマンションを持っているだけで、年間80万円ほどの出費となる。

またこのマンションが1棟だけでなかった点が、売却をより困難にする。1棟100室規模のマンションが10棟ほどが立ち並んでいるのだ。このリゾートマンションの売り物件だけで、常時数百室が市場に溢れている。5万円や10万円といった、不動産とは思えない価格が並ぶ。それでも買い手がおらず、売り物件は増える一方だった。

女性が亡くなり、遺言執行の業務に入ると、このマンションの厄介さが顕在化してくる。とりあえず売却価格を5万円で売りに出したものの、1~2か月様子を見たが売れる気配もない。

リゾートマンションを管理する会社に問い合わせても、ヤル気がまったくない。

「引き受けてもいいですけど、売れるかどうか分かりません。まず無理だと思います」

と、「分かるだろ?」と言わんばかりの対応を取られてしまった。30年前に自社で散々売っておいて、この言い草だ。

相続人とも面識があったので、相続開始から2か月ほど経ったあと、面談の場を設けた。預貯金はそれぞれ1000万円ほど受領ができる計算だが、とにかく不動産の現金化の目途が立たない。すると相続人の1人から、こう言われてしまった。


「先生、この貧乏神のようにお金だけ浪費する不動産を、自分の子どもたちに残すようならば、私は1000万円なんて要りません。相続放棄も考えないといけない」

相続放棄してしまうと、その他預貯金などの金銭の財産を受ける権利もなくしてしまう。このままでは、せっかくの故人の意思の具現化である遺言、お世話になった甥姪に残したいという意思を実現できない。つまり遺言執行者として職責を果たしたことにならない。

しかし5万円でも、いや、0円でも売れない物件をどうやって処分すればいいのか、途方にくれる。「多少の費用を用いてもいいか?」と尋ねたところ、相続人の方全員が「ともかくこの不動産と縁が切れて、マイナスにならなければいい。相続財産からお金を使ってもいい」という意見で一致した。

個人的に知人に声をかけても、0円でも買い手(貰い手)は現れない。市場に出しても、そもそも問い合わせすらない。かつて販売し、現在は管理している不動産会社も前述のようなありさまだ。個人的な知り合いのツテを辿ったところ、1社だけ、地元の不動産業者が話を聞いてくれた。

本来ならばタダでも買い取れないということだったが、「常識的には買主が負担する、部屋のリフォーム代を負担してくれるのなら、購入を検討してもいい」ということだった。

不動産がまず売却できないことを勘案し、負担するリフォーム代は110万。管理費用などの経費の1年分を超える額だ。これを売主が負担することを条件に、1万円で買ってくれる、という最早何がなんだかわからない売買契約になった。トータルでマイナス109万円の売買契約。

不動産を処分で100万以上使ってしまったが、代わりに相続人は、各1000万円弱の相続財産を無事に受け取ることができた。相続人からは、金銭が無事に振り込まれたことよりも、「この不動産を後の世代まで残さないですんだ」ことに涙を流して感謝されてしまった。こちらとしては多少費用をかけてしまっているので、何とも不思議な感覚だ。

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最終更新:9/18(水) 11:57
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