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精神科で「強制不妊手術」を受けたある男性が、脱走劇の末に見たもの

9/18(水) 12:01配信

現代ビジネス

女子中学生まで…!?

 恐れていた強制不妊手術の日がやって来た。

 大部屋にいた当時18歳の小島喜久夫さん(現在78歳)は、手術室への移動を指示された。

前回【病院へ拉致され「不妊手術」をされたヤクザの絶望】はこちら

 この日、断種される人は小島さんの他に4人いて、うち1人は女子中学生だった。

 複数の男性看護師に体をつかまれて手術室に向かう途中、何度も「逃げたい」と思った。しかし、暴れても意味はない。注射や電気ショックを加えられるだけだ。下手に暴れると、ロボトミー手術で脳を破壊されかねない恐怖も感じていた。

 「子どもができなければ、女遊びし放題だ……」

 馬鹿げたことを考えて気を紛らわせようとした。だが、執刀医に「ズボンを脱いでそこに寝なさい」と命令されると、やはり湧き上がる怒りと恐怖を抑え切れなかった。

 土壇場の抵抗は瞬時に鎮圧された。看護師たちに体を強く押さえられ、手術台に寝かされた。鎮静剤を注射され、ズボンと下着をはぎ取られた。股を大きく広げられ、その状態で手足を縛られた。

 もはや、まな板の鯉──抗えない絶望の中で、もう全てがどうでもよくなった。

 「俺はどうせ無価値な人間だ。好きにしやがれ」

 陰嚢の横、左右2か所にメスを入れられ、精管を切断された。手術は局所麻酔で行われ、「全然効かず、ものすごく痛かった」。手術時間は30~40分だったと記憶しているが、「3、4日は股間が痛くてどうしようもなかった」。

このまま人生を終えるなんて

 強制断種後も、鉄格子と施錠だらけの「精神科強制収容所」から出られる気配はなかった。周囲の患者たちは「ずっと出られないよ」「10年以上入院している人もいる」などと諦め顔で言っている。

 娑婆で悪さをしたことは事実だ。とはいえ、父への復讐で金をたびたびせびったこと以外は、ヤクザ同士の喧嘩を何度かした程度だった。

 その償いが、精神科に強制収容され、「無期刑」と強制断種を受けることだなんて、めちゃくちゃ過ぎる。しかも未成年なのだ。

 それまでも、辛いことばかりの人生に絶望し、小島さんの自己評価は著しく低かった。それでも、「こんな所で人生を終えるのは真っ平」だと思った。

 「逃げよう」

 だが、強行突破を図った他の患者たちは、幾重もの鉄格子に阻まれて、ことごとく脱走に失敗していた。それならば発想を変えて、病院を欺いてやろう。そのためには、時間をかけて「模範囚」と見なされる必要がある。急がば回れだ。

 医師や看護師には絶対逆らわず、言いつけを守り、掃除や雑用に精を出した。「ここが私の終の住処です」と言わんばかりに。

 半年後、チャンスが巡って来た。念願のゴミ捨て係に任命されたのだ。

 ゴミ捨ての時だけは鉄の扉が開き、敷地外の集積所まで行ける。公道を10メートルほど往復するだけだが、逃げる機会は必ずある。決行は、看護師が少ない日曜日と決めた。

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最終更新:9/18(水) 12:01
現代ビジネス

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