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これで朝鮮半島問題は解決に向かうのか? アメリカが考えていること

9/18(水) 6:01配信

現代ビジネス

トランプ政権内の暗闘

 9・11事件から18周年の記念日を直前にしてトランプ大統領がジョン・ボルトン補佐官の「解任」をいつものようにツイッターで突然発表した。

文在寅がWTOに提訴!でもそれ、韓国経済の首をしめる行為です…

 その理由をメディアは、外交政策をめぐる対立、北朝鮮、イラン、ロシア、アフガニスタンなどに対して「融和的」な立場をとるトランプ大統領とより強硬的な政策を主張するボルトン補佐官の意見が相容れなくなったからだと報じている(BBC、朝日新聞など)。

 トランプ大統領のツイッターは次の通り。

 「私は昨晩、ジョン・ボルトンにホワイトハウスで彼の務めがもはや必要ないと伝えた。私は彼の進言の多くに強く反対してきた。政権内の他の人々もそうだ。それゆえ、ジョンに辞任するように求め、辞表は今朝、私のもとに届いた。彼の貢献にはとても感謝している。来週、新たな国家安全保障担当の補佐官を任命する予定だ」

 このボルトン補佐官と対立していた「政権内の他の人々」とは、対北朝鮮や対イラン政策でより現実路線を取るポンペオ国務長官やマルバニー大統領首席補佐官代行、ムニューシン財務長官らの名前が挙がっている。

 今回の大統領補佐官(国家安全保障担当)の辞任・解任劇は、マイケル・フリン元陸軍中将(2017年2月に辞任)、H・R・マクマスター将軍(2018年4月に解任)に続き、トランプ政権内では3人目となる。

 チャールズ・カッパーマン大統領副補佐官(国家安全保障問題担当)が暫定的に後任をつとめるが、「来週任命する」としている後任の有力候補には、国務省のスティーブン・ビーガン北朝鮮担当特別代表のほか、フック・イラン担当特別代表、ジョン・サリバン国務副長官、リチャード・グレネル駐独米大使の名前などが挙がっているという。

 また、その直接のきっかけとして、2001年に起こった9・11事件の18周年の前日でもあったため、18周年の前日でもあったため、トランプ大統領が7日に、大統領公式別荘キャンプデイヴィッドで8日に予定していたタリバンとの「秘密会談」を取り止めた件との関連も指摘されている。

 ボルトン補佐官はアメリカがテロ組織に指定するタリバンとの和平交渉についても、「恐ろしい前例を作る」ことになりかねないと反発していたからだ。

 しかし、より重視すべきは「北朝鮮」(本来ならば「共和国」という名称が妥当)との関係であろう。

 北の崔善姫第1外務次官が「9月下旬ごろ米国側と向き合い、これまで我々が論議してきた問題を包括的に討議する用意がある」と非核化協議を再開する意向を9月9日に表明したのが注目される(「日本経済新聞」9月10日)。

 これに対し、トランプ大統領も同日、米朝実務者協議について、「私がいつも言っているように、会談することは良いことだ。悪いことではない」と」と述べ、早期の協議再開に期待を示した(「朝日新聞」9月10日)。

 こうした動きの背景には、

 「北はかなり前から米国に、ボルトン氏を政権から外して欲しいと要求していました。ここにきてトランプ大統領がその要請を受け入れたのは大統領選の前に外交成果を得るためでしょう。おそらく米国政府が北と水面下で交渉を続け、ボルトン解任という条件をのんだ。そこで崔善姫外務次官が非核化協議の再開を発表。翌日、トランプ氏がボルトン解任を発表する筋書きになったと思われます。」(大阪経済大教授の黒坂真氏)

 との指摘もあるように(「日刊ゲンダイ」2019/9/13)、ボルトン解任をたびたび要求してきた北朝鮮(金正恩委員長)と米国(トランプ大統領)との間で紙面下での交渉がなされていた可能性が高いと思われる。

 しかも、事態が急速に動いたのは、北朝鮮の崔善姫第1外務次官が、8月31日にポンペオ米国務長官が北朝鮮を冒涜する発言(「北朝鮮の「不良な行為」は看過できない」)をしたと強く非難する談話を発表してからのことであった。

 そこで崔氏は、「非核化を巡る米朝実務協議の開催はいっそう困難になった」と述べ、「米国との対話への期待は薄れつつあり、米国は北朝鮮側の忍耐をこれ以上試すべきではない」と警告を発していたのである(8月31日「国営朝鮮中央通信」、「共同通信」ほか)。

 ここでトランプ大統領と金正恩委員長が6月30日に板門店で3回目の首脳会をした後の米朝両国の動きを見てみると、両国は実務者協議の再開で合意したいたものの、8月に規模を縮小して実施された米韓軍事演習に北朝鮮側が約束違反だとして強く反発し、7月25日以降の1カ月間で、7回の短距離ミサイルを発射する事態となっていた。

 また北朝鮮は国連にも、9月下旬の国連総会で李容浩外相が演説を見送る方針を伝えるなど対話は停滞に陥り、合意された実務者協議の再開も危ぶまれていた。

 ただこの間にも、金正恩委員長はトランプ大統領に書簡を送り、近く交渉を始めたいという意思を伝えていた。

 トランプ大統領は8月9日に、ホワイトハウスで記者団に対し「北朝鮮のキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長からとても美しい書簡を受け取った」と述べ、4回目の米朝首脳会談について「また会談を行うことになると思う」と開催に意欲を示していた。また、書簡の内容は「とても前向きなものだった」とし、金委員長が米韓合同演習に不満を示したことも明らかにしていた(NHKニュース2019年8月10日、など)。

 また韓国の金錬鉄統一相が今年6月27日の記者会見で、「2018年以来、金委員長はトランプ大統領宛てに8通の書簡をしたためた。トランプ大統領は金委員長宛てに4通の書簡を書いた」「定期的な書簡のやり取りをみるに、両首脳は米朝対話再開の重要性を認識していると思う」と指摘していたことも注目される(AFP2019年6月27日)。

 またトランプ大統領が、金正恩委員長が親書を送り、韓米合同演習が終わり次第、非核化交渉を始めようという考えを伝えてきたと8月8日に明らかにした。

 トランプ大統領が短距離ミサイルの発射を容認する姿勢を変えなかったのもそうした情報の交換・共有による米朝首脳間の「個人的な信頼感」があったためであろう。

 そのことをある意味であらためて証明することになったのが今回のボルトン補佐官解任劇であったといえよう。

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最終更新:9/24(火) 14:20
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