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ナバレッテの目は輝いた― Sバンタム級最強王者に聞いた「VS井上尚弥」の可能性

9/18(水) 13:03配信

THE ANSWER

井上の将来のライバルと目される、スーパーバンタム級で無敵を誇るナバレッテ

 WBO世界スーパーバンタム級王者エマニュエル・ナバレッテ(メキシコ)の強さばかりが目立った一戦だった。9月14日、ラスベガスのT-モバイルアリーナで行われたファン・ミゲール・エロルデ(フィリピン)との3度目の防衛戦で、ナバレッテは圧倒的な4回TKO勝ち。2回に左フックのカウンターでダメージを与えると、その後もリラックスした構えから悠然と詰めに取り掛かる。3回終了間際にはロープ際での豪快な左フックでダウンを奪い、この時点で勝敗に対する興味はほぼ失われた。

【動画】対決実現なら、井上尚弥は勝てるか!? 強烈左フックなどでエロルデも戦意喪失…ナバレッテが鮮烈4回TKOを演じた実際の瞬間

 最後は第4ラウンドにナバレッテが右クロスをヒットした直後、レフェリーが26秒でTKOを宣告。ストップ自体は少々早い印象もあったが、誰も文句は言えないほどに両者の実力差は歴然としていた。

「凄いパフォーマンスができてよかった。レフェリーは適切な仕事をしたと思う」

 リング上で余裕の表情でそう述べたナバレッテは、これで29勝(25KO)1敗。一見すると華奢な身体だが、前戦からわずか4週間という間隔で行った試合でも十分に力を発揮するだけのタフさがある。身長170センチ、リーチは183センチとサイズに恵まれ、同じペースで放ってくるコンビネーションは脅威。無敗だったアイザック・ドグボエ(ガーナ)への2連勝で評価を高めた24歳のメキシカンは、一気にスター街道を駆け上がっている感がある。

「こんな強さを見せてしまったら、周辺階級の選手は誰もナバレッテと戦いたがらなくなるんじゃないかな……」

 リングサイドで筆者の近くに陣取ったある地元記者は、思わずそう漏らしていた。必ずしも層が厚いとはいえないスーパーバンタム級で、今後はこのナバレッテも“階級最強候補”と呼ばれるようになっていくのだろう。

ナバレッテにとっても井上は魅力的な相手だが、障壁も

 “周辺階級の選手”という言葉を聞いてピンと来たファンも少なくないかもしれない。ナバレッテが属するスーパーバンタム級は、井上尚弥(大橋)が戦うバンタム級の1つ上の階級。現在参戦しているワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)が終了し、その後にバンタム級で相手がいなくなったら、井上は遠からずうちに上の階級に上がっていくのだろう。その時には、ナバレッテは好敵手になるのではないか。

 ディフェンスには隙のあるナバレッテを井上があっさり倒してしまっても不思議はないが、メキシカンが井上のパワーパンチを耐えられた場合、面白い展開になるかもしれない。特にWBSS後の井上は、ナバレッテと同じトップランクとのプロモーション契約が有力視されている。だとすれば……?
 
「もしイノウエと戦えたら素晴らしい機会になりますね。イノウエはスピードがありますし、アグレッシブ。常にフィニッシュを狙って攻めていく彼みたいなスタイルの選手が大好きなんです。本当に凄いボクサー。イノウエとのビッグファイトが実現したら、僕にとっても名誉です。ただ……」

 試合後、井上戦の可能性をナバレッテに尋ねると、すぐに目を輝かせた。通訳を通じての英語でのインタヴューだったが、このメキシカンが井上の強さを熟知していることはその表情からも明白。そして、おそらくは直接対決に思いをめぐらせたことがあるからこそ、現実的に実現させるのは容易ではないことも理解しているようだった。

「僕はあと1、2戦ほどでフェザー級に上げるつもり。スーパーバンタム級に長くとどまる意思はありません。それ以上、僕の身体がこの階級で持つとは思いません。だからスーパーバンタムでは最高でもあと2戦ですね」

 ナバレッテはスーパーバンタム級では長身だけに、この階級で残された時間は少ないというのは理解できる。すぐにでもレイ・バルガス(メキシコ)、ダニー・ローマン(アメリカ)といった対立王者と統一戦を行いたい様子で、実際にエロルデ戦のリングサイドにはバルガスの姿もあった。

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最終更新:9/18(水) 13:03
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