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千葉の停電は「的外れな議論」が多すぎる

9/18(水) 5:00配信

東洋経済オンライン

 台風15号による停電が長期化している問題で、電力会社による情報提供のあり方が批判を招いている。

 送配電事業を担う東京電力パワーグリッドは当初、2日程度で停電を解消できるとの見通しを示したが、その後、おおむね1週間、さらには2週間へと見通しを変更した。そうした中で、千葉県知事やマスメディアなどから、東電の「想定の甘さ」を指摘する声が相次いだ。

■千葉県や国の対応は遅すぎた

 しかし、問題とすべきは「見通しの甘さ」ではない。大規模災害の場合、被災状況の正確な把握自体がそもそも困難であり、情報の欠損や情報提供の遅延は当然起こりうる。東電の責任だけを追及しても得るものはあまりない。

 大規模災害時には、正確な情報を得られず不確実性がある中で、意思決定をしていかなければならない。これが「クライシスマネジメント」(最悪の状態を想定した危機管理)の考え方だ。むしろ、国や地方自治体にクライシスマネジメントが欠如していたことこそ問題にすべきだ。

 その一例が、行政による対策本部設置の遅さだ。千葉県が災害対策本部を設置したのは、大規模停電発生から丸1日以上が過ぎた9月10日午前9時のことだった。経済産業省の停電被害対策本部の設置は13日。政府全体の災害対策本部に至っては17日現在も設置されていない。

 対策本部設置以前からさまざまな取り組みが続けられていたはずだが、大規模災害では電力のみならず、医療や食料の提供、避難場所の確保などさまざまな課題があり、政府や都道府県による対策本部を速やかに設置し、意思決定・情報発信していくことが必要だ。

 その際、クライシスマネジメントの中枢を担うのも、電力会社などの民間企業ではなく、国や都道府県である。しかし、今回の災害では、対策の多くが電力会社任せにされている。

 東電は9月13日になって、停電の復旧までにおおむね2週間が必要だとの見通しを示した。これだけ停電が長期化する事態であれば、電力会社に判断や公表を任せることが正しかったのかについても疑問がある。政府が主導してもよかったケースだ。

 マスメディアの報道も、的外れなものが少なくない。例えば倒壊した電柱の本数が何本あるかとの質問に東電が答えられなかったことが問題視されたが、情報の正確性にこだわりすぎるのはクライシスマネジメントの観点から適切ではない。むしろ、災害時は情報が十分そろわないことが多いということを認識すべきだ。

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最終更新:9/18(水) 5:00
東洋経済オンライン

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