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米中貿易戦争とアメリカの景気をどう読むか

9/18(水) 6:00配信

東洋経済オンライン

米中貿易摩擦の激化と世界的な景気後退懸念の台頭で8月の金融市場は波乱の展開となった。米中貿易摩擦についてはトランプ大統領の発信に一喜一憂する状態が続く。景況感の悪化は製造業を中心に広がり、まず欧州の牽引役だったドイツの不調が目立つ。アメリカの景気まで失速すれば、世界景気後退のリスクが高まる。バンクオブアメリカ・メリルリンチのジャパン・コンファレンス(投資家向けに毎年開催)で、このほど来日したエコノミストのイーサン・ハリス氏に、話を聞いた。

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■アメリカは大統領選挙前に中国と「停戦」する

 ――アメリカは9月1日に対中関税の第4弾の一部を発動、中国からの輸入品の大半5200億ドル規模を対象に制裁目的の関税が課されることになりました。中国側もアメリカからの輸入品約1850億ドルに関税を課し、貿易摩擦はエスカレートしてきました。今後をどう見ますか。

 アメリカのトランプ政権は12月には消費財をターゲットにした関税の発動を予定していて、これが実施されるのか、それによってどのような影響が出るのかに注目している。

 今までのところ、トランプ政権は消費者の目からは関税の悪影響を巧みに隠すことができていた。原材料や資本財など企業が購入するものが対象だったためだ。実際に消費者が買うものの値段が上がれば、これが関税のせいだとわかるので、政治的に危険な状況が生まれる。消費者の信頼感が失われ、市場がそれに反応すれば、政策にも反発が出ると思われる。

 私はアメリカと中国の貿易戦争はおそらく停戦になると思っている。2020年には大統領選挙が控えており、トランプ大統領は消費者を敵に回したくない。政権への支持を失いたくないし、景気の減速も避けたい。人気のない政策はとりたくないと思っている。

 ただ、関税がまったくなくなるということはない。米中両サイドの主張には隔たりがあって、金額のギャップが大きすぎる。また、両者は交渉相手としてお互いをまったく信用していない。あくまでも大統領選挙前の停戦にすぎない。

 ――中国は中期的に生産年齢人口の減少や債務の積み上がりなど構造的な問題に直面していて、改革に取り組んでいます。トランプ大統領はそこを狙い打ちしたと思われる一方、中国は長期戦の覚悟を決めました。トランプ大統領は相手の出方を読み間違ったのではないでしょうか。

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最終更新:10/4(金) 17:07
東洋経済オンライン

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