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「チョグク」スキャンダルで韓国人青年層の政治離れが加速 “体感失業率”はナント21・8%!

9/18(水) 6:00配信

デイリー新潮

文政権批判に向かう「キャンドル集会」

 娘の大学や大学院への進学をめぐる不正疑惑などで、日本のワイドショーでもすっかりおなじみになった韓国のチョグク法務大臣。その彼が法相に任命された9月9日、ソウル大学では午後6時半から任命に反対する学生ら約500人による集会が開かれた。ソウル大はチョ法相の母校であり、自身もかつて法学部教授を務めていた韓国の最高学府。集会のタイトルは、「チョグク教授STOP!  第3回ソウル大生キャンドル集会」だ。

「キャンドル集会」と聞いて、朴槿恵(パククネ)退陣を求める大群衆がソウル中心部を埋め尽くした2016年のデモを思い出す人がいるかも知れない。この集会はもともと韓国の保守派に対する進歩派(リベラル層)、つまり文在寅(ムンジェイン)政権支持層のトレードマークだった。それがいまでは、文大統領の最側近に矛先を向けているわけだ。一方で主催者は、集会を文政権批判に利用したい保守派の便乗を避けるため、学生証やスマホアプリなどで、卒業生ないし在学生の身分確認を徹底していた。

 ソウル大学の学部生を対象に9月1~6日に行った調査では、73・9%がチョグク法相の任命に反対。賛成は16・9%にすぎない。同様の傾向は、ほかの主要大学でも同じだ。

 チョグク法相の娘が医学専門大学院生として在学中の釜山大学でも、同じ日の同時刻に3回目のキャンドル集会を開いた。またチョグク法相の娘が学部を卒業した高麗大学は、9月6日に同じく3回目のキャンドル集会を開催。さらに9月16日には、延世大学も「第1次チョグク辞任要求集会」を開くという。高麗大学、延世大学は、いずれも韓国で私大の最難関とされるソウルの名門大学だ。

青年の「体感失業率」は5人に1人

 疑惑の渦中にある人物の閣僚任命を強行した文在寅大統領。国民の批判が殺到するのは正常な反応だが、こうした青年層の怒りはより根深い病巣に端を発している。

 過度な高学歴志向と熾烈な受験競争、そしてわずかな一流企業の狭き門に高学歴者が殺到する就職市場――。韓国の若者は幼い頃から厳しい競争に投げ込まれ、ひと握りの成功者を目指すサバイバルに追い立てられる。もちろん日本の就活でも学歴で足切りされるのは常識だが、韓国紙によると、そのくらいは「贅沢な愚痴」(「中央日報」2018年6月1日付)だ。

 韓国の青年失業率は今年4月の11・5%から持ち直しているが、8月時点で7・2%とまだ高水準にある。就職できなかった大卒者は就職浪人となり、アルバイトで生計を立てながらインターンや資格取得に励むのが常だ。こうした就職浪人、あるいは望む仕事に就けずアルバイトなどを余儀なくされている青年層の割合=「青年体感失業率」は、21・8%(8月)。青年の5人に1人が、不安定な生活と将来への不安に苛まれているわけだ。

 国内に見切りをつけ、多言語を習得して海外に就職の道を求める若者も少なくない。2018年に政府支援を受けて海外就職した青年は5783人、そのうち32%の1828人が日本へ渡った。

 さらにその青年たちを心理的に追い込んでいるのが、富裕層や高位権力層による裏口入学、コネ採用といった不正行為の横行だ。親の財力や地位で大学や就職先が決まってしまうという絶望感は、20代の間で年を追うごとに高まっている。2017年の調査では、こうした社会的な階層を移動できる、つまり親の財力や地位にかかわらず成功できる可能性が「低い」と答えた30代未満の青年が61・55%に上った。これは2013年の46・8%から1・3倍以上増えた数字だ。

 2017年5月の大統領選でも青年の失業問題は争点とされ、過去の政権を批判した文在寅は若者の大きな支持を獲得した。それだけに文大統領の最側近であるチョグク法相の娘を巡る不正入試疑惑は、韓国の青年層に計り知れない喪失感と失望を与える結果となっている。

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最終更新:9/19(木) 10:39
デイリー新潮

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