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巨人、優勝秒読み 「丸佳浩」が本当のプロと言われる所以【柴田勲のセブンアイズ】

9/18(水) 11:31配信

デイリー新潮

 勝負はゲタをはくまで分からないと言うが、巨人の5年ぶりのリーグ優勝が確実になった。

 原辰徳監督への「おめでとう」は胴上げを見てからにするが、本当に今年は先を読みづらいシーズンだった。

 振り返ると、やっぱり丸佳浩の加入が大きかった。優勝をグイッと手元に引き寄せたDeNA3連戦の勝ち越しは丸の今季の働きを凝縮していた。

 優勝候補の一角だった広島の順位を見るにつけ、結局は丸の抜けた穴を埋めることができなかった。

 丸の巨人移籍でセ・リーグの勢力地図が塗り変わった。こう言ってもいいだろう。前回、体の開きが早く、ステップした際に重心が後ろにかかっている。調子を落としかけ、こんな指摘をしたけど、「ツイスト打法」で乗り切った。

 頭を残し、ボールをよく見て、打つ瞬間に腰を逆方向にひねる。言うのは簡単だが、大事なゲームでやってのけた。また、打球がよく飛ぶ。技術の確かさに驚いた。丸の働きが坂本勇人や岡本和真らへのいい刺激となって、相乗効果をもたらした。とにかく1年間、コンスタントに活躍したと思う。打撃もさることながら、守備でも貢献した。打球へのスタートが早くて、落下地点をキッチリと見極める。

 ファインプレーをファインプレーと見せないのが本当のプロだけど、丸にはそれを感じ取る。

 話は変わるが、野球ファンの間ではMVP(最優秀選手)の話題がぼちぼち出始めている。

 私、丸の加入の大きさを強調したけど、坂本だと思う。

 ショートのポジションで、しかもキャプテンとして1年間、ほぼフル出場してナインを引っ張り続けた。

 丸の守備を評価したが、坂本も守備範囲が広く、何度となく投手を助けてきた。チーム、つまり原監督の2人への評価は「五分五分」かもしれない。でも、われわれ外野席からは何と言っても坂本の存在が光る。

 もう1人、山口俊も候補の一角になるかもしれない。最後までしっかりと投げ続けた。20勝すれば別だったがもう不可能だ。

 こんな話題を取り上げることができるのも、巨人が5年ぶりの優勝が確実になったからだ。

 原監督が胴上げされれば、今後はCS(クライマックス・シリーズ)への展望となっていくだろう。出て来るのは横浜か、それとも広島か。次回以降はじっくりと話していきたい。

 日本球界通算100勝、64年(S39年)に29勝を挙げて阪神の優勝に貢献したジーン・バッキーさんが亡くなった。82歳だった。

 この年の阪神の優勝は彼の獅子奮迅のたまものだった。真っすぐが速くて変化球が切れに切れた。

 手足が長くて、投手らしくない、なんとも言えない独特の投げ方をしていた。64年は文句なしにナンバー1の投手だった。私も苦しめられた。

 外国人で初の沢村賞を獲得した。巨人とは乱闘事件もあったけど、親日家の顔を持っていた。

 素晴らしい投手のご冥福を心からお祈りいたします。

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会副理事長、14年から巨人OB会会長を務める。

週刊新潮WEB取材班編集

2019年9月18日 掲載

新潮社

最終更新:9/18(水) 15:05
デイリー新潮

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