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遅咲きの不器用なセッター佐藤美弥。初のW杯……1人で背負わなくていい。

9/18(水) 8:01配信

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 19-24。韓国にマッチポイントを取られてからの、怒濤の追い上げは見事だった。

 石川真佑のサーブからラリーにつなげ、石井優希が強打、軟打を織り交ぜ得点し、日本は一挙6得点を挙げ、25-24。セットカウント1-2、しかも相手のマッチポイントからの大逆転劇を期待する観客の悲鳴に近い声援が後押しする中、再び繰り返されるラリー。

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 セッターの佐藤美弥は、石井にトスを託した。

 だが、やや短く、ネットに近くなったトスは打つコースが限られ、石井が放ったスパイクはほぼ正面にいたセッターのイ・ダヨンに止められた。トスの質だけでなく、その前からレフト、レフトと攻撃が偏っていたため、ミドルブロッカーのヤン・ヒョジンもあらかじめレフト側に寄っていたこともブロック失点を喫した理由の1つだった。

 ならば、と佐藤が次に選択したのはミドルブロッカーの芥川愛加へのAクイック。しかし待ち構えていたヤンがブロック。石井がフォローしたボールを、新鍋理沙が何とかつないで返すも、韓国はリベロがレシーブ。チャンスボールからの攻撃をイ・ジェヨンが決め、最後はセッターのイのサービスエースでこのセット25-27で落とし、日本は1-3で敗れた。

敗戦の責任を背負う佐藤。

 大会3日目で2敗を喫した現実に、ミックスゾーンを通る選手たちの足取りも重い。

 「序盤、中盤に(キム)ヨンギョンにブロックされてから、ヨンギョンの前からの攻撃は避けようと思ってしまって、すごく偏っていたし、私自身ストレスも感じながら、攻撃の幅も狭くなってしまいました。エースに集まる中でもあえて1本外すとか、使い方、という面で課題が多かった。最後(芥川のクイック)は自分の選択ミスでした」

 佐藤は、その責任を一身に背負っていた。

「美弥さんのトスは、すごく優しい」

 中田久美監督が就任後、3シーズン目。なかなかセッターが固定されずにいたが、大方の予想は、きっと佐藤が正セッターになるだろうという見解だった。

 もちろんそう思わせる理由がある。セッターとしての基本要素はさることながら、何より、共にコートへ入ってトスを打つアタッカー陣から寄せられる信頼は絶大で、多くの選手が「打ちやすい」と声を揃え、古賀紗理那はセッター佐藤をこう評する。

 「美弥さんはどんな状況でもアタッカーを見捨てないんです。たとえば1本決まらなくてももう1本持ってきてくれるし、私が万全な状態で入れず、攻撃が決まらなかったとしても『ごめん、今は私が間をつくれなかった』と矢印が自分に向く。こうしたいからこう入って、というセッターではなく、私はこう打ちたいからここに入る、そうするとトスが来る。美弥さんのトスは、すごく優しいんです」

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最終更新:9/18(水) 8:01
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