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消費増税「駆け込み需要の大小」はあまり重要でない

9/18(水) 18:00配信

日経ビジネス

 厚生労働省が8月9日に発表した19年春闘における主要企業の妥結状況で、定期昇給を含めた賃上げ額(平均妥結額、賞与除く)は6790円(前年比マイナス243円)。賃上げ率は2.18%(同マイナス0.08ポイント)で、2年ぶりに低下した。

【関連画像】19年度の後半、個人消費は悪化が避けられないと予想される

 他の調査結果についても触れておくと、連合による第7回(最終)集計では2.07%(前年比横ばい)、日本経済新聞による最終集計では2.17%(同マイナス0.17ポイント)、日本経団連による最終集計では2.43%(同マイナス0.10ポイント)であり、連合以外はすべて前年よりも低い伸び率になった。企業業績が低迷してきている中では、「官製春闘」であっても、賃金の上昇率は鈍らざるを得なかったと言える。

 また、19年夏のボーナス支給額の調査結果は、経団連による最終集計で前年同期比マイナス3.44%(2年ぶり減)、日本経済新聞による最終集計(7月1日時点)で同マイナス0.37%(7年ぶり減)である(厚生労働省による公式統計は未発表)。

 このように所得環境の改善が鈍っている、あるいは止まった上に、消費者のマインドは悪化している。「老後2000万円問題」で先行き不安が強まったことも、陰に陽に影響している可能性が高い。消費動向調査で消費者態度指数(二人以上の世帯・季節調整値)は、19年8月まで実に11カ月連続の低下。内閣府の基調判断は「弱まっている」である。

●消費の現場、混乱もあり得る

 そうした中で、10月1日に8%から10%に消費税率が引き上げられる。軽減税率やポイント還元に対応するための売り手側の準備は小規模店舗を中心に出遅れ感が強い。10月の増税直後には、消費の現場が混乱する場面が出てくることも予想される。

 耐久消費財や住宅など価格が高いものを消費税率が高くなる前に購入しようとする「駆け込み需要」については、14年4月の前回消費増税の前に比べれば総じて目立たないとするマスコミ報道が多い。

 「前回、半年以上も前から駆け込み需要が発生した新車需要は盛り上がりを欠く。一方、家電製品は活気が出るなどまだら模様」(2019年8月29日付時事通信)になっており、その原因は、新車販売には政府による駆け込み需要の抑制策(10月からの税制変更)があるからだ。車種によっては、10月以降に買った方が支払う税金が安くなる場合もあるという。

 その一方で、テレビ・洗濯機・スティック形掃除機といった家電には、そうした販売の平準化策がない上に、09年に家電エコポイント制度を使って購入した製品の買い替えサイクルが到来していることが追い風になっているという(19年8月29日付時事通信)。

 なお、トイレットペーパーなど日用品の駆け込み購入(いわゆる買いだめ)は、消費増税直前の1カ月以内に集中して出てくる公算が大きい。百貨店などは、コートなど冬物の重衣料を増税前に買うようキャンペーンを展開するなど、少しでも前倒しの購入需要を喚起しようとしている。

 耐久消費財などの駆け込み需要については、政府と日銀で、その規模感について温度差がある。内閣府幹部は「駆け込みが全くないとは言わないが日銀ほど出ているとは考えていない」とコメント(19年9月1日付日本経済新聞)。茂木敏充経済再生担当相は8月30日に「駆け込み需要は見られない」と明言。菅義偉官房長官は9月2日の記者会見で、この見方に同調する発言をした。

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最終更新:9/18(水) 18:00
日経ビジネス

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