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さらば電話攻勢 「LINE中古車査定」でクルマが高く売れるカラクリ

9/18(水) 6:00配信

日経クロストレンド

 クルマの売却時に一括査定サイトを使ったことはあるだろうか。「最大××社に同時査定できる」とのうたい文句に誘われ、送信ボタンを押したが最後、電話が鳴りやまなくなる。そんな現状に一石を投じるサービスが現れた。LINEで質問に答えるだけで査定価格が届く。その狙いとアルゴリズムに迫った。

 「国産車ですか?輸入車ですか?」「車種を選択してください」「車の状態を教えてください」。LINEのトーク画面を開き、チャット形式で質問に答えるだけで、複数の買い取り業者からコメント付きで査定価格が返ってくる。

 無料で利用でき、回答に要する時間は僅か45秒。愛車の相場を知りたい場合やクルマの購入相談にも気軽に使える。サービス名は「ビッドナウ クルマ買取」。アドテクノロジー(広告技術)企業のフリークアウトが、2019年5月9日に始めた新事業だ。法人向けのマーケティング企業が、クルマの査定という消費者向けのビジネスに目を向けた。意外性のある組み合わせは、実体験がベースとなって生まれた。

 「必要事項を入力し、送信ボタンを押して5秒でスマホが鳴った。0120、03、050。電話番号はさまざまで、スマホ画面3ページ分にわたって延々と着信が続いた。あるときは080で着信があり、仕事の電話かなと思ったら『××××です』と」。

 こう振り返るのは、事業責任者の胡桃沢精一氏。家事代行サービス「CaSy(カジー)」の創業メンバーとして運営会社を率いた後、18年4月に「新規事業請負人」としてフリークアウトに入社した。

 業者が電話攻勢に出るのは、理由がある。他社より1秒でも早く売却を打診することで、成約の可能性が大きく高まるからだ。1人の顧客を10社から 20社で取り合う構図のため、「1回つながると電話を切らせてくれない。30分ぐらい電話を長引かせようとする。そして、いざ査定を依頼すると、『今決めてくれたら5万円プラスします』とか、『ちょっと待ってください、上司に電話します』と言って長時間粘る。こういう不毛なやり取りを解消したかった」と胡桃沢氏は語る。

 「電話がしつこい」「交渉に時間がかかる」。こうした利用者の不満を解消したのが、ビッドナウ。LINEに届いた査定価格を見比べ、「査定依頼」をタップして初めて業者とマッチングする仕組みで、業者側から一方的に電話がかかってくることはない。既に30代、40代を中心に口コミで1300人の利用者を獲得。食いついたのは、消費者だけではない。業界大手のネクステージやカーチスから地方の個店まで、全国で30弱の買い取り業者が登録した。それは、業者側にもメリットをもたらすからだ。

 一括査定サイトは、どうしても早い者勝ちの側面が強かった。他社を出し抜くため、「裏側ではコールセンターに何十人も待機させ、瞬時に電話を掛けられるようオートコールを導入している。いち早く電話がつながればいいが、2社目、3社目の場合は、まずお客さんをなだめるところから始まる。そんな業務を過ごすうちにメンタルを病み、辞める人が後を絶たない」(胡桃沢氏)という。労力の割に顧客獲得率が低く、なおかつ早期退職の原因にもなっていた。

 1人1台スマートフォンが行き渡った今、コミュニケーションの主役は電話でなく、チャットになった。社員側も電話よりLINEのほうが気楽だ。ビッドナウには、コメント機能もあり、文字数は限られているものの、「こんなオプションがついていたら5万円プラスできます」と最低限のことは売り込める。無料で登録でき、送客人数に応じて成果報酬を支払うビジネスモデルのため、使わないデメリットもあまりないというわけだ。

●高額査定を支えるマッチング制度

 ビッドナウは、査定に参加できる業者の数を4社までに絞っている。例えば、東京都港区在住で2010年式のBMWならこの4社というように、地域や車種、年式によって自動的に振り分けているのだ。それには理由がある。

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最終更新:9/18(水) 6:00
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