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鳥谷への“引退勧告”で感じたこと/廣岡達朗コラム

9/19(木) 11:01配信

週刊ベースボールONLINE

日本球界の契約の在り方

 鳥谷敬が阪神から引退勧告を受けた。これは野球界全体に大きな影響を及ぼすような事件である。

【ドラフト指名時インタビュー】阪神自由枠・鳥谷敬「ショートで勝負して、定位置を取る」

 私が聞いている限りでは、鳥谷は干されても一生懸命に練習していた。好きな酒も2年間断って精進してきたという。感心した。元来、人付き合いがよくない。関西にはタニマチが多く、食事の席に呼ばれて、行かないと付き合いが悪いと言われてしまう。そういうことに嫌気が差したとしても当然だと思う。プロというのは人付き合いがよくて「いい人だ」と言われる必要はどこにもないのだ。

 今回の鳥谷の件で私が問題にしたいのは、日本球界の契約の在り方である。5年契約を結んでいたこと自体、フロントや現場の首脳陣がよくない証拠だ。複数年契約を結んだら普通、人間は堕落するのだ。「君はそれだけ値打ちのある選手だ。5年間はウチで働いてもらいたい」という意思表示はいい。だが、ベンチを温める人間に4億円を払ってはいけない。

 鳥谷もショートからサード、セカンドへとたらい回しにされた時点で、後釜をチームが見つけたと潮時を感じるのが普通だ。そう思わないのは、お金をもらえるからだ。一般論として、いまはベンチに座っているだけで億単位の年俸が保障されているのだから、選手はうれしいに決まっている。それが間違っていると私は言いたいのだ。

 やはり、働かないとお金をもらえない契約にすべきだ。日本では契約という概念が全然なっていない。アメリカの契約書が分厚いのは、多民族だからそれがないと成り立たないからだ。たとえば日本に来ている助っ人で「神のお告げ」で今日は行くなというから球場に行かなかったという者が実際にいる。アメリカでは、契約書にのっとってそれなら金を払わないとなる。ところが、日本はドンブリだ。試合に出ても休んでも同じ額を払う。それは契約ではない。

 もうひとつ、「引退してくれないか」というフロントの言い方にも問題がある。本当は「次代の選手が育っているので、君は引退して第二の鳥谷を作ってくれないか」と言うべきだ。本人は未練があるから現役でやりたいと言うかもしれない。しかし、やはり自然の法則というものがある。人間は年とともに衰える。にもかかわらず、仮にロッテで2~3年“延命”するなら大反対だ。

 その後、指導者・鳥谷をどの球団が取るというのだ。何だかんだ言っても巨人と阪神は影響力のある球団である。鳥谷は「よく考えたら、本当に大変な球団で一生懸命にやった結果、使ってもらいました。分かりました」と引退を受け入れる潔さも大切だ。

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最終更新:9/25(水) 15:43
週刊ベースボールONLINE

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