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「日本の水産業上場企業に事業リスク」英シンクタンク

9/19(木) 12:58配信

オルタナ

英国の金融シンクタンク「プラネット・トラッカー」は9月17日、日本の水産上場41社に投資や貸付を行っている企業が「バブル崩壊に直面する可能性がある」と指摘した。報告書「投資家が評価する海とビジネス:金融市場から見る日本の水産業の利益とリスク」で、この41社に対する投資家のリスクを分析した。(オルタナ編集委員/海洋ジャーナリスト=瀬戸内千代)

それによると、日本の水産物生産高が30%減った2009年から2018年の9年間で、国内水産上場企業41社※の総合株価は210%増と、日経平均の198%を上回っていた。その背景には、水産物の輸入増加と、養殖業への投資増加がある。

しかし、世界の主要漁業資源は3割が乱獲状態、6割が満限利用(これ以上の漁獲は乱獲となる状態)であり、持続可能な漁業は1割にも満たない。養殖業も、その多くが繁殖や餌のために天然魚に依存している。気候変動の影響や、漁獲量減少や操業コストの高まりによる利益率低下が、投資家にとってリスクとなる。

さらに報告書は、41社の不透明性を問題視している。41社は世界に計2,891社の子会社を持つが、所有する船舶による漁業などの客観的なデータが不足している。投資家向けの詳細資料が日本語のみの場合もある。

プラネット・トラッカー創設者のマーク・カンパナーレ氏は、「漁獲資源が業界の再成長を支えられるほど回復しなければ、投資家は近い将来、水産業のバブル崩壊に直面する可能性がある」と警告した。

一方、米国の科学雑誌『サイエンス』2019年10月号には、短期間の漁獲量削減によって日本が2065年までに年間約6000億円の追加収益を見込めるとする試算が掲載された。

報告書も「状況を改善する時間は残されている」とまとめており、投資家に対して、金融・風評リスクを回避するためにも投資先に持続可能な漁業や事業の透明性を強く求めることを提言している。

なお、41社に投資や貸付を行っている上位15社のうち10社が、年金積立金管理運用独立行政法人をはじめとする日本の投資家で、41社の株式の51%を保有している。

※国内水産上場企業41社
あじかん、アルビス、中部水産、中央魚類、大水、大都魚類、フィード・ワン、ジーエフシー、はごろもフーズ、阪和興業、林兼産業、ヒガシマル、ほうすい、一正蒲鉾、伊藤忠商事、極洋、丸紅、マルハニチロ、マルイチ産商、マックスバリュ九州、三菱商事、三井物産、なとり、ニチモウ、ニチレイ、日本製麻、日本水産、OUGホールディングス、佐藤水産、神栄、双日、東都水産、東京一番フーズ、東洋水産、築地魚市場、魚喜、魚力、横浜魚類、横浜丸魚、横浜冷凍、ヨンキュウ

最終更新:9/19(木) 13:05
オルタナ

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