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「観光立国」への課題解決の一端をになう 外国人を迎え入れ、安全への脅威を阻止する日本の玄関口

9/19(木) 7:35配信

日本の人事部

海外旅行へ行った際、必ず通過しなければならない最初の関門が入国審査だ。撮影禁止のサインや指紋の採取など、独特な雰囲気にのまれて緊張が高まり、委縮してしまう人も少なくないだろう。入国審査を受ける人たちによる長い列の先に待ち構えているのは「入国審査官」。最近では入国審査の電子化も進んでいるが、日本における入国審査官は、どのような任務を負っているのだろうか。

入国審査官を取り巻く環境が大きく変化

2017年10月、羽田空港に機械による顔認証ゲートが先行導入された。各ゲートに多くの人がずらりと並んでいる脇に、見慣れないピカピカの機械が設置されている。現在のところ対象となるのは、日本人の帰国手続きのみ。帰国手続きの割合が多かった入国審査官のマンパワーを、外国人の入国手続きにあてることを目的としている。事前登録は不要で、ほぼ待ち時間ゼロの自動ゲートを進み、ICパスポートを読み込ませて目の前にある鏡状の画面に顔を映せば、ほんの数十秒で帰国手続きは完了。入国審査官が認証スタンプを押す工程が省かれるため、パスポートのハンコが一つ減って少し寂しい気持ちになる人もいるかもしれない。しかし、手荷物を機内持ち込みにさえしていれば、着陸からおよそ10~15分という、国内旅行と同じくらいのスピードで空港を後にできるようになったのは、うれしい進歩だ。

EUではすでに出入国管理の一部を自動化している空港もあり、人の手を介して行う業務と、機械に任せる業務のすみ分けを行っている。特定の国のパスポートを持っていれば、よりスムーズな自動ゲートを利用できる。「パスポートの強さ」を表す、ビザなしで行ける国数を比較したランキングで3位(2018年現在159国)にランクインしている日本も、その“特定の国”に該当していることが多く、これからの海外旅行では機械による出入国管理にたびたび出くわすことになりそうだ。入国審査といえば、審査官との1対1の質疑応答のイメージが強かったが、時代は変化しつつあるのだ。

日本で出入国管理の自動化の動きが出始めた背景には、年々増加する訪日外国人の存在がある。日本政府観光局(JNTO)によると、2017年の外国人旅行者の数は、過去最高の2,869万人を記録。安倍政権の発足直後からビザ緩和や免税制度の拡充などにより、観光産業は右肩上がりとなっている。中国人観光客による「爆買い」が流行語大賞に選ばれたのは2015年だが、当時の訪日観光客は約1,974万だったので、2年間でおよそ150%伸びたことになる。さらに政府は、2020年には4,000万人、2030年には6,000万人を誘致するという高い目標を掲げている。

自動化が進んでいるとはいえ、訪日観光客の急増への対応に加え、世界的にリスクが高まるテロへの対策も課題となっているため、入国審査官は大忙しだ。五輪・パラリンピックの東京開催が決定した直後、法務省は2020年までに入国審査官を1,000人増員する方針を固めた。国家公務員全体の店員削減が進む中、これほどの大幅増員を打ち出すのは異例の発表だ。増員のみならず、航空機が到着する前にできることは確認する必要があるため、PNRと呼ばれる、航空券の購入場所や支払い方法、旅程などの乗客予約記録を航空会社から事前に取り寄せるプログラムの導入も始まっている。

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最終更新:9/19(木) 7:35
日本の人事部

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