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殺虫剤で渡り鳥が「遅延」、初の研究、激減と関連か

9/19(木) 7:10配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

ネオニコチノイドの野生の鳥への影響示す、北米のミヤマシトド

 農薬として世界で最も広く使われているネオニコチノイド系殺虫剤と、北米の渡り鳥の激減を結びつける研究結果が、9月12日付けで学術誌「Science」に発表された。

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 渡り鳥のミヤマシトド(Zonotrichia leucophrys)は、近年北米で急速に数を減らしている。今回の研究では、殺虫剤で処理された種子1~2粒分に相当するネオニコチノイドを摂取したミヤマシトドは、体重が急激に減り、その後の渡りが遅れることが示された。野生の鳥が受ける殺虫剤の被害を、実際の生態系のスケールで追跡できた初の研究だ。

 しばらくすると鳥は回復したが、渡りの遅れによって生存と繁殖の機会が大きく損なわれる恐れがあると、研究を行ったカナダの研究者らは言う。

「現実的な量のネオニコチノイドにより、鳥が強い影響を受けることが、はっきりと示されました」。論文の筆頭著者で、カナダにあるサスカチュワン大学毒物学センターの博士研究員マーガレット・エング氏はそう述べる。

 春、渡り鳥が移動する時期はちょうど種まきの時期に重なっている。米国とカナダで生産される作物のほとんどは、ネオニコチノイド系殺虫剤で処理された種を使用しており、鳥たちは移動中に休憩する先々で、その種を口にする恐れがある。ネオニコチノイドを摂取して出発が遅れれば、その後の繁殖に響いてくるだろうと、論文は締めくくっている。

安全とされていた殺虫剤

 1980年代後半に発売されたネオニコチノイドは、それ以前の殺虫剤よりも安全とされていた。だが、花粉を媒介するミツバチなどの昆虫の大幅な減少に、ネオニコチノイドが関係しているという研究が次々に出され、ついにEUは2018年にネオニコチノイド系殺虫剤の使用を禁止した。今回の研究は、そのネオニコチノイドが昆虫だけでなく他の環境問題と結びついている例として、鳥が被害を受け、その結果、生息数が脅かされていることを明らかにしていると、エング氏はインタビューで語った。

「ネオニコチノイド中毒で、野生の鳥の行動に変化が現れることを示した初の研究です」と、オランダにあるラドバウド大学生態学者、キャスパー・ホールマン氏は語る。

 また、この結果は殺虫剤で処理された種子を食べる他の鳥にも当てはめられるだろうと指摘する。ホールマン氏はこの研究には参加していないが、昆虫を食べる鳥が広範囲で減少していることを、ネオニコチノイドの使用と関連付けた別の論文を発表している。

 北米では、農業地帯に生息する野鳥の種の74%が、1966年以降大きく数を減らしている。その多くが種を食べる鳥だ。最新研究は、ネオニコチノイドがその激減に直接関係している可能性があると指摘する。他にも、ネオニコチノイドが広く普及したことで、ミツバチにとって米国の農業地帯の毒性が25年前の48倍にまで高まっているという論文が、2019年8月に発表されている。他の昆虫にとっても、状況は同じであると考えられる。

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