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ヒカル、ライバロリ、もこう、よしなま…京アニ支援で発揮した「YouTuberの影響力」

9/19(木) 11:50配信

PHP Online 衆知(Voice)

35人が犠牲になった京都アニメーション放火事件。日本を代表するアニメ制作会社を襲ったあまりに理不尽な出来事に、世界中が衝撃を受けた。国内外で支援の動きが広がるなか、京都在住の映画研究者である伊藤弘了氏は、発売中の月刊誌『Voice』10月号にて、京アニ支援に乗り出した有名YouTuberの「影響力」を指摘している。本稿ではその一節を紹介する。

※本稿は月刊誌『Voice』(2019年10月号)、伊藤弘了氏の「京アニ放火事件を悼む」より一部抜粋、編集したものです。

8月14日の午前9時ごろ、私は京都府宇治市の六地蔵駅にいた。京阪六地蔵駅は、放火の被害に遭った京都アニメーション第1スタジオの最寄り駅である。

六地蔵駅を出てすぐ左手には、放火事件の犠牲者を悼むための献花台が設置されている(8月25日をもって終了)。台風10号の接近に伴って、一時的(8月14日午後から8月16日午前)に献花台が撤去されることを知った私は、ぜひともその前に花を手向けたいと思い、急ぎ駆けつけた。

私が京アニ作品から受けた多大な恩恵を思えば、もっと早くに献花に訪れるべきだったのかもしれない(京都市内の自宅から六地蔵までは電車で1時間程度の距離だ)。

10代後半から現在に至るまで、『涼宮ハルヒの憂鬱』や『らき☆すた』『けいおん!』といった同社の代表作(のみならず、2000年代を代表するアニメーション作品群)からは大きな喜びを分け与えてもらった。

だからこそ、一刻も早く駆けつけたいと思う一方で、心の整理が追いつかず、現場に赴いて現実を直視する勇気が湧いてこなかった。

国内外からの支援の動き

7月18日の京都は、朝から雨模様だった。外出の支度をしていた私は、午前11時過ぎに、タブレットの通知画面で火災事件の第一報を目にした。

そのときにはこれほど悲惨な事件になるとは思っていなかったが、出先で事件の続報を確認し、あまりの被害の大きさに言葉を失った。

現在(8月28日時点)までの犠牲者はじつに35名に上り、建物内にいた従業員30名以上が重軽傷を負うという戦後最悪レベルの放火事件となってしまった。

もちろん、人の命の価値に序列はつけられないが、今回の事件は世界中にファンをもつアニメ制作会社を見舞った悲劇として大々的に報じられ、各方面から次々に追悼の声が寄せられた。

カナダのジャスティン・トルドー首相や台湾の蔡英文総統、アップル社のティム・クック最高経営責任者らがただちに事件を悼むコメントをツイッターに投稿したほか、中国の大手動画共有サイト「ビリビリ動画」もアニメカテゴリのページを白黒表示にすることで哀悼の意を表明した。

また、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)上では「#PrayForKyoani」のハッシュタグが広がり、有名無名を問わずさまざまな言語で追悼メッセージが投稿された。

8月に入ってからは、国内の主要アニメ雑誌三誌が9月号に合同で追悼ページを設けたことが大きく取り上げられた。3誌(徳間書店の『アニメージュ』、学研プラスの『アニメディア』、KADOKAWAの『Newtype』)は1ページを割いて共通の追悼文を掲載した。

文章の上下には、京アニ作品が飾った過去の表紙を計6冊分載せている。6冊の内訳は各雑誌が2冊分ずつ(したがって、いずれの雑誌も自誌以外の表紙を4枚ずつ載せていることになる)で、使用されている表紙に重複はない。

つまり、3誌合計で18枚の異なる表紙画像が使われているわけで、京アニ作品がそれだけ高い頻度で表紙を飾ってきたことがわかる。これらの表紙は、アニメ雑誌にとって京アニがいかに大きな存在であったかを雄弁に物語っているのである。

支援に向けた具体的な動きも事件発生直後から次々にもちあがった。発生から数時間後にはアメリカのアニメ配給会社センタイ・フィルムワークスが京アニ支援を呼びかけるクラウドファンディングを立ち上げた。

寄付の受付は7月末まで続けられ、最終的に集まった金額は237万ドル(約2億5000万円)近くにも上った(このクラウドファンディングを通して、アドビ社が5万ドルを寄付したことも話題となった)。

日本国内では、事件発生翌日の7月19日にアニメイトが全店に募金箱を設置した。アニメイトの公式発表によれば、7月31日までに集まった約2億5000万円はすでに京アニに送金済みということである(募金箱の設置は9月1日まで)。

SNS上には紙幣で満たされた募金箱の写真が多数投稿され、「少しでも京アニの助けになりたい」という人びとの気持ちが可視化された。

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最終更新:9/19(木) 11:50
PHP Online 衆知(Voice)

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