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【VAR特集#4】導入3年目。Jリーグも参考にした“VAR先進国”ドイツの現状

9/19(木) 20:40配信

footballista

欧州のVAR事情コラム

ここまでは審判、リーグ、そして選手それぞれの目線からVARについて語ってもらうことで、VARのリアルに迫ってきた。次に紹介したいのが、日本よりも先にVARを導入した国外のリーグではいったい何が起こり、今どうなっているのか。

今回取り上げるのは、2017-18シーズンに5大リーグでいち早くVARを導入したドイツ・ブンデスリーガのケース。 今季で3シーズン目を迎えた“VAR先進国”のこれまでと現状について、ドイツ在住で指導者としてもジャーナリストとしても活動する中野吉之伴さんにレポートしてもらった。

文 中野吉之伴


 ブンデスリーガではVARが導入されて3シーズン目が始まっている。

 ドイツではどのように受け止められ、どのような改善が行われてきたのだろうか。その辺りを探ってみようと思う。

 導入当初は一つひとつの判定に時間がかかり、スタジアムのファンも、選手や監督もみんなが困惑していた。問題点の一つに、何を、なぜ、どのように判定したのかというところが不明瞭だったことが挙げられる。スタジアムのファンは自チームのゴールだと思って喜んでいたのに、しばらくしたら試合が一時中断され、時に数分間判定が下されるのに待たされた挙句、それが取り消されるというなんとも腑に落ちない時間の過ごし方を余儀なくされていた。

 スタジアムにはリズムがあったはずだ。生きた時間が流れていたはずだった。それが、どこからか強制的にストップがかかり、試合の流れが不自然な形で途絶えてしまい、まるで別のスポーツをしているかのようになってしまう。

「審判がどこか不安げ」

 基本的にどの選手、監督に話を聞いても、VAR自体は悪いアイディアではないと語る。デュッセルドルフのフリドヘルム・フンケル監督は「例えばオフサイドラインの確認などはいいことだ」と評価している。ただ、その使い方、干渉の仕方がまだ整理・浸透し切っていないところが、試合に不必要ないざこざを招く要因となってしまっている。

 気になるのはVARによるサポートがどうこうという以前に、新しい判定の仕方が加わったことで、審判のキャパシティオーバーになっているという指摘だ。フンケルは「私の個人的な意見だが、もちろん、昔の方が良かった。それは判定のミスがあったとしても、いくつかのディスカッションで受け入れることができたからだ。今日では審判がどこか不安げになってしまっている。毅然とした態度で判定をしていた審判らしさがなくなってしまっている」と口にしていた。

 審判自身が「本当にこれでいいのだろうか」と少しでも迷いながら笛を吹いていたら、自信を持って判定を下すことが難しくなる。特に昨シーズンはハンドにおける判定基準が非常に複雑で、なぜその判定になったのか、なぜVARが介入したのか、あるいはなぜしなかったのか、誰も納得できないまま試合が進むことも珍しくなかった。試合後に選手や監督、関係者がインタビュー時にそのシーンについて尋ねられても、誰も明確な答えを言えないという不思議で消化不良な空気ばかりが流れてしまっていた。

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最終更新:9/19(木) 20:40
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