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大家さんの認知症対策…「家族を巻き込む」ことが重要なワケ

9/19(木) 13:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

人生100年時代といわれ、相続対策の前から被相続人となる親や祖父母の認知症リスクが高まる中、賃貸不動産等の承継においてどのような対策を実施するのが有効なのでしょうか。本記事では、認知症大家対策アドバイザー岡田文徳氏の著書、『大家さんのための家族信託®』(プラチナ出版)から一部を抜粋し、著者自身で実践し体験した、令和時代にふさわしい賃貸業の承継策を紹介します。

家族信託の目的は、財産を管理すること

大家さんにとって、認知症対策において、家族信託Ⓡを用いた場合と用いない場合では大きな違いが出てきます。認知症に関わる法律部分を確認してみたいと思います。

家族信託Ⓡを用いた場合と用いない場合では、関係する法律が異なります。家族信託Ⓡを用いた場合は、信託法になります。一方で、家族信託Ⓡを用いない場合には、民法になります。これは、大きな違いです。

民法は一般法であり、信託法は特別法です。一般法と特別法では、特別法が優先されます。特別法の定めや矛盾しない範囲で一般法の規定が適用されます。2006年に信託法が改正されてから10数年しか経過しておりません。民法の範囲と信託法の範囲で裁判が起きたこともほとんどありません。今後、民法の範囲と信託法の範囲で裁判がおきた時の判決を判例として、確認していくことは必要であると考えます。

認知症対策で家族信託Ⓡを用いた場合にどうなるのか? 確認していきましょう!

家族信託Ⓡの目的は、財産を管理することだけです。「財産の管理」といっても、財産の運用、処分といえるでしょう。そして、家族信託Ⓡを組むためには、財産を所有している大家さんと不動産を含めた資産の管理を任せる人(多くの場合、子ども世代の家族)との間で信託契約を結ぶ必要があります。なぜなら、資産の管理を任せる人を大家さん本人が決めることができるからです。

大家さんが決めることができるということは、本当に大家さん本人が資産の管理を任せる人を決めたかどうかを証明する必要があります。

民法では契約自体は、契約関係となる両者が合意することによって、成立しますので、口頭でも成立します。大家さん本人が認知症になってしまってからでは、大家さんと資産の管理を任せる人との間で合意することができませんので、契約することはできません。なぜなら、大家さんが認知症であるということは、契約内容について判断することができない状態です。それでは、契約内容について、合意することはできません。そのため、認知症になってしまうと、契約を締結することができなくなります。これは、信託契約だけに限らず、すべての契約事項において、締結することができなくなることを意味します。

また、口頭では、「言った」「言わない」の問題になりかねません。ですから、信託契約の内容を契約書という形で残しておく必要があります。ただ、契約書を残せば良いというわけではありません。大家さんが資産の管理を任せる人と信託契約するときに、大家さん本人が認知症ではなかったことを証明する必要があります。

もし、信託契約を締結したときに大家さんが認知症であったのであれば、信託契約は無効になりかねません。ですから、信託契約を締結する時に大家さんが認知症でなかったことを証明しなければなりません。そのためには、公証役場において、公証人の先生の前で宣誓認証するか、公正証書として信託契約書を作成することによって、公証人の先生が信託契約を締結するときに大家さんが認知症でなかったことを証明することになります。

むしろ信託契約を締結するときに、大家さんが認知症でなかったことを公正証書で信託契約書を作成することによって、初めて信託契約が締結できると考えておいたほうが良いでしょう。

また、信託契約を行うと、不動産の所有権が名義と受益権という2種類に分離します。資産の管理を任せる人が名義を持つことになります。これについては、後ほどくわしく説明します。

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最終更新:9/19(木) 13:00
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