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Wendy’sのキャラが、大人気ゲーム「フォートナイト」のバーガーショップで冷凍庫を壊しまくった理由

9/19(木) 8:00配信

Forbes JAPAN

南仏カンヌで毎年行われている世界最高峰の広告およびマーケティング・コミュニケーションの祭典「カンヌライオンズ」。過去18回も現地を訪れ、審査員まで務めた筆者が、広告やキャンペーンの実例を紐解きながら、最先端コミュニケーションについて解説していくシリーズの第1回目をお届けする。

今回は、2019年6月に開催されたカンヌライオンズから、話題作をピックアップ。「メディアではないものをメディア化した」ことにより、メッセージを伝えることに最大の効果を挙げた最新事例を紹介しよう。

大人気ゲーム「フォートナイトの世界」に入り込め! 

取り上げるのは、ハンバーガーチェーンWendy’sによる「Keeping Fortnite Fresh(フォートナイトを新鮮に保て!)」だ。カンヌでは、ソーシャル&インフルエンサー部門ブランプリを始め、多くの賞を受賞した。

「フォートナイト」は、バトル系のオンラインゲーム。世界中で約2億人がプレイしているとも言われ、アメリカやヨーロッパでは、社会現象も起こしたほどのメガタイトルだ。この人気ゲームの世界に、Wendy’sは目をつけた。

Wendy’sのモットーは、「冷凍肉は一切使わない」こと。それを伝えるため、Wendy’sはこの圧倒的人気ゲーム“内”で、ある行動に出た。

自社のキャラクターと同じ“赤毛でおさげ”のアバターを使って、ゲーム内にもぐりこみ、ハンバーガーショップの“冷凍庫”を片っ端から破壊したのだ。752台も冷凍庫を壊しまくったことが、プレイヤーの間で面白いと人気になり、大きな話題を呼んだ。

Wendy’sがバーガーショップの冷凍庫を壊すことで伝えたかったのは、「ハンバーガーには冷凍肉を使うべきではない、我々は使っていない」ということ。そのメッセージを、いわゆるメディアではなく、既存の大人気ゲーム内での行動によって伝えたのだ。

可能性を広げる

どんなものでもメディアになり得る

20世紀を振り返ってみると、新聞、雑誌、ラジオ、テレビのマスコミ4媒体(4マス)しか、広告の送り手が発信するメッセージの伝達手段(メッセージの乗り物)はほぼ存在しなかった。21世紀に入ると、デジタルメディアとソーシャルメディアが新たに加わり、送り手側は懸命にメッセージを伝えようと努力してきた。

しかし、いまや“メッセージの乗り物”は、いわゆる“メディア”である必要さえなくなった。メディアの解釈は、大きく拡張され、「人気のオンラインゲームに入り込む」ということまで可能性を広げることになったのだ。

カンヌでセミナーに登壇した米国Wendy’sのクルト・ケイン社長は、「オンラインゲームの次は、音楽や、はたまたレスリングといったものにも入り込みたい。Wendy’sは消費者の友達だから、友達が話している話題には入り込んで行く」といった趣旨の発言をしていた。“メッセージの乗り物”としての“メディア”には、いまやどんなものでも成り得るのだ。

従来メディアが効果を挙げにくくなってきたならば、他の方法を考えるしかない。Wendy’sのチームは、超人気のオンラインゲームをメディア化した。他にも、世界中のいたるところで、こうした試みはなされている。

さて、このWendy’s事例は、あなたご自身のコミュニケーションのヒントにもなり得るのではないだろうか。

例えば、部下とのコミュニケーションを、部会や面談や飲みの場以外で考えてみるのは、どうだろう。あるいは、家族とのコミュニケーションを、ふだんの食事や買い物の場以外で考えてみるのもいい。

従来のメディア(コミュニケーションの場)が少し上手く機能していないようであれば、別のメディア(コミュニケーションの場)について考えてみるのも、悪くはないのではないだろうか。

佐藤達郎

最終更新:9/19(木) 8:00
Forbes JAPAN

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