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大規模停電で千葉「生乳産地」が重大事態

9/19(木) 5:00配信

東洋経済オンライン

 台風15号による大規模停電が、古くからの生乳産地として知られる千葉県南部の酪農家を直撃している。

【写真】「このままでは息子たちに給料を払うのも厳しい」と語る酪農家

 千葉県は生乳の生産量で岩手県に次ぐ全国6位を占め、年約20万トンの生産規模を持つ(2017年)。中でも房総半島南部は、日本酪農発祥の地として知られている。

 南房総市和田地区で50頭の乳牛を飼育している黒川一夫さん(69歳)は、9月9日未明に停電が発生して以降、ともに酪農を営む2人の息子と対応に追われている。

■絞った牛乳は畑に穴を掘って廃棄

 「困ったのは電源の確保。停電発生から間もなくしてレンタル店に自家発電機を借りに行ったが、在庫がないと言われた。ほかの店から小さな発電機を借りてしのいだが、発電容量が少ないために搾乳は一頭ずつやるしかなかった。しかも通常1日2回のところを1回に減らした」(黒川さん)。

 しかし、せっかく搾った牛乳は畑に穴を掘って廃棄しなければならなかった。というのも、発電能力の不足で搾った牛乳を冷やしておくための冷凍機を動かせなかったためだ。

 平常どおりの1日2回の搾乳と冷凍機を同時に動かせる発電機を借りることができたのは停電から4日後の9月13日。出荷にこぎ着けたのは翌14日の朝のことだった。

 発電機を持っていたことで、停電が起きた後も生乳の出荷を続けられた酪農家もある。

 南房総市平久里下地区で70頭の乳牛を飼育する男性(49歳)は、「最悪の事態は免れえた。発電機1台で50頭を搾乳する搾乳機と牛乳1トン分を冷やせる冷凍機を同時に回せる」と話す。

 ただ、ディーゼル発電機を所有していた酪農家でも苦労は絶えない。「東日本大震災の時だって停電はせいぜい1日だけだった。75歳になるが、南房総でこんな大きな台風や長期停電は初めてだよ」。南房総市の山田地区で祖父の代から酪農を営む奥澤捷貴さん(75歳)は今回の台風のすさまじさをこう語った。

 かつて千葉県酪農農業協同組合連合会の会長を務めた奥澤さんは、東日本大震災の後、地域の酪農家に補助金を活用したディーゼル発電機の購入を呼びかけた。その奥澤さんも、今回の停電対応には「疲れ果てた」と語る。

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最終更新:9/19(木) 5:00
東洋経済オンライン

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