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原油急騰でもインフレは起きず円高になる懸念

9/19(木) 6:30配信

東洋経済オンライン

 アメリカ10年国債金利は9月5日から13日までの間に、1.5%台から一時約1.9%まで大きく上昇した。10月末に期限を迎えるイギリスによる合意なきEU離脱への懸念緩和、米中貿易協議が合意に至るとの期待、香港・アルゼンチンなどの地政学リスクの和らぎ、など好材料が重なったことが金利上昇の背景にある。

 9月12日のECB(欧州中央銀行)理事会では、ほぼ事前の市場予想どおりに政策金利引き下げと、量的緩和再開などの金融緩和が決まった。ただ、量的金融緩和の再開に対してECB内部から複数の反対がでたことなどが警戒されて、理事会後にドイツ10年国債金利は、一時マイナス0.4%台まで上昇する場面があった。

8月22日付のコラム「アメリカ株は再度大きく下落するリスクがある」では、米欧債券市場での金利低下が「行き過ぎ」の領域に入っていると指摘した(当時、アメリカの10年金利は1.5%前後まで低下)。米連邦準備制度理事会(FRB)とECBの金融緩和期待が債券市場で高まり過ぎて、米欧国債がもっとも割高な資産であると考えていた。筆者の想定どおりに、大きく調整したことになる。

■米金利短期急騰でも、株式や外国為替への影響は軽微

 一方、米欧債券市場で起きた金利の大幅上昇は、株式、為替市場などに大きな影響を及ぼしていない。ドル円相場は、9月初旬からドル高となったが、1ドル=105円台から3円程度ドル高円安が進んだだけである。債券市場で、8月までスピード違反的な金利低下が起きて、その反動が9月に起きたということだろう。

 今後の米欧国債金利への影響を与える要因として、9月14日に起きたサウジアラビアの石油施設攻撃による原油価格急騰、米中貿易戦争の行方、各国の経済動向・金融政策、が挙げられる。

 まず、サウジの石油施設攻撃については、アメリカとイランの緊張がやや和らぎつつある中で、今回の出来事が起こった背景はそれぞれの勢力の様々な思惑が影響しているとみられる。ただ、本コラムを執筆している17日時点では、誰が攻撃したか、依然はっきりせず、真相は不明である。

 中東情勢の緊迫化が大幅な原油高を招き、インフレや金利上昇をもたらすかもしれない。たとえば、1970年代に起きた高インフレは、中東戦争などの原油供給減少が原油価格やインフレ率の大幅上昇がもたらしたとの見方が根強い。

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最終更新:9/19(木) 6:30
東洋経済オンライン

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