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三つ子次男の「虐待死」に映る多胎児家庭の辛労

9/19(木) 6:40配信

東洋経済オンライン

 東京都目黒区の船戸結愛ちゃんの虐待死事件で9月17日、母親の優里被告に懲役8年(求刑懲役11年)とする判決が下されたが、9月24日に予定される控訴審判決にも注目が集まっている。2018年に愛知県豊田市で発生した、三つ子育児の母親による0歳児の次男への暴行死事件の判決である。

【写真】三つ子次男暴行死事件が発生したマンション

 2018年1月11日19時ごろ、愛知県豊田市に住む三つ子の母(当時29歳)が、自宅で生後11カ月の次男が泣きやまないことに腹を立て、床に2回たたきつけた。次男は病院に運ばれたが、同26日に脳損傷により亡くなった。母は殺人未遂容疑で逮捕された。

 今年3月、名古屋地方裁判所岡崎支部で裁判員裁判の一審判決が出され、母は傷害致死罪で懲役3年6カ月を言い渡された。執行猶予はついておらず、母は控訴した。

■健診で見られた虐待の兆候

『週刊東洋経済』では9月17日発売号で「子どもの命を守る」を特集。児童虐待や保育園事故、不慮の事故など、子どもの命を襲う危険について網羅的に検証している。その中で目黒区の虐待事件に加え、三つ子事件についてもレポートしている。

 豊田市の事件では、母は2017年に不妊治療の末、三つ子を出産した。妊娠期には夫婦そろって市が主催する育児教室に通い、夫は半年間の育児休暇を取得するなど、育児に向き合おうとする様子がうかがえた。

 しかし、三つ子の育児の負担は過酷だった。母は三つ子に対して毎日24回以上ミルクをあげており、1日1時間も眠れない日が続いた。そうした母を継続的に支えることができる人は、周囲にはいなかった。夫はおむつ替えに失敗したり、子どもをうまくあやせなかったりしたため、次第に頼ることができなくなったという。実家の両親も祖父母の介護に追われ、子の育児支援にまで手が回らなかった。

 事件を防げたかもしれない場面もあった。2017年5月、三つ子の母は豊田市が実施した3~4カ月児健康診査の際、問診票の「子どもの口をふさいだ」という欄に印をつけたのだ。

 また、長男の背中にはあざが見つかっていた。いずれも担当の保健師や医師が母に事情を聞いたものの、虐待と断定できる根拠はなく、行政が家庭に介入することはなかった。

 また健診の少し前に、豊田市の子ども家庭課の保健師が乳児を対象とした全戸訪問で三つ子家庭を訪れている。母が保健師に育児の不安を伝えると、保健師は一時的に子どもを預かる「ファミリー・サポート・センター」を紹介。しかし母は登録こそしたものの、実際の利用には至らなかった。一家はエレベーターのないアパートの4階の部屋に住んでおり、3人の子どもを抱えて階段を下り、事前の面談に行くことはなかった。結局育児の悩みは解消されず、母は次第に孤立していった。

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最終更新:9/19(木) 15:20
東洋経済オンライン

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