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次の大ヒット飲料は「クラフトコーラ」 日本発で世界を狙う

9/19(木) 6:00配信

日経クロストレンド

 世界中あまねく人が親しんできたコーラ飲料に、新風が吹き込んでいる。“原点回帰”し、スパイスやハーブを利かせて個性的な味わいを求めた「クラフトコーラ」だ。有力銘柄の「ともコーラ」の生産量は昨年比15倍ペース。大手メーカーも開発に乗り出すか?

 国内でビール全体の消費量が落ち込む中、小規模な醸造所(マイクロブルワリー)を中心に素材や味にこだわり抜いて醸されるクラフトビールの市場が、堅調に伸びている。これまでの大量生産で画一的な大手企業のビールと違い、個性あふれる新感覚の味わいや香りを楽しめるのが支持を集める理由だ。

 こうしたクラフト文脈のトレンドは、嗜好性の強い食品・飲料の分野で広がっている。コーヒー豆の産地ごとの違いに着目し、焙煎(ばいせん)方法に工夫を凝らした「サードウエーブコーヒー」しかり、チョコレートにおける「ビーン・トゥ・バー」の動きしかり。直近では、ハーブやスパイスを利かせた「クラフトジン」の市場も盛り上がりを見せている。

 そんな中、個性的な味わいという面ではいまだ手付かずの「最後の嗜好飲料」として脚光を浴びつつあるのが、「クラフトコーラ」だ。コーラ飲料はコカ・コーラとペプシコが世界市場を席巻しており、味わいのイメージは画一化されているのが現状。しかし、もともとコーラという飲み物は、アフリカ原産の植物の実「コーラナッツ」を原料に使用し、様々なスパイスやハーブを調合して作られたものが始まりと言われる。現代の大量生産されたコーラ飲料ではコーラナッツ自体はほとんど使われていないが、その原点に立ち返れば、オリジナルのレシピで個性的な味わいを生み出す“余白”が、意外なほど大きい飲料なのだ。

 また、一般のコーラ飲料で使われる異性化糖(果糖ブドウ糖液糖)や香料、保存料に頼らずに作るクラフトコーラは、従来のイメージを覆し、罪悪感なく楽しめる“健康コーラ”とも言える。昨今の健康志向の高まりが逆風となっている有糖炭酸に、再び消費者を振り向かせるのに十分なストーリーを持つジャンルだ。

●「コーラはカレーの仲間なんです」

 そう語るのは、クラフトコーラ専門メーカーとして2018年8月から「ともコーラ」の販売を行うTOMO’s CRAFT(東京・港)の代表、坂本章太氏だ。その意図するところとは、コーラもカレーもスパイスとハーブの組み合わせの妙が肝であり、味わいには必ずしも「正解」がなく、実に懐が深いメニューであること。こうした元来コーラが持つはずの多様性に注目していたパートナーの調香師と組み、クラフトコーラの世界に飛び込んだという。日本では、先行して世界初のクラフトコーラ専門店「伊良(いよし)コーラ」も立ち上がっており、実はクラフトコーラは日本発のトレンドと言えるのも面白いところだ。

 ともコーラは、コーラナッツの他、クローブやカルダモン、シナモンといった“定番”のスパイスに加え、ネーブルオレンジ、レモン、キビ砂糖など15種類以上の自然素材を使用。中でも、山椒(さんしょう)や和ハーブ(ヒハツモドキ、クロモジなど)といった日本ならではの素材を取り入れていることが特徴だ。当初配合していたのは7種類の素材だったが、後味にキレを出すために唐辛子を加えたり、オレンジの皮の独特な渋みを生かしたりと、試行錯誤を重ねてきた。また、最終的にすべての材料を煮詰めてコーラシロップを作るのだが、「スパイスによって入れる順番や、ホールのままか砕いてから入れるかなどで味わいが変わってくる」(TOMO’s CRAFT)。30回以上の試作をしてレシピを作り、それをブラッシュアップし続けているという。

 実際に、ともコーラの原液を炭酸で割って飲んでみると、柔らかな甘みの中に柑橘(かんきつ)や各種のスパイスが混じり合った複雑な味わいで、病みつき要素がある。鼻に抜ける香りも爽やかで、特徴的。従来のコーラ飲料との違いは明らかだが、コーラらしいフレーバーも確かにベースとしてある。液色は真っ黒ではなく、紅茶のように淡い茶色だ。

 楽しみ方も多彩。ともコーラでは原液を牛乳と割って飲むラテスタイルや、バニラアイスにかけて食べることも提案している。もちろん、ウイスキーの割り材として炭酸と共に入れるのもいい。クラフトコークハイを作って飲むと、よりスパイスが引き立つ感覚があり、新鮮だ。

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最終更新:9/19(木) 6:00
日経クロストレンド

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