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可能性に「気付き」、将来を「築く」 ~何度でもやり直せる社会を目指して~ (後編)

9/20(金) 11:05配信

Japan In-depth

【まとめ】

・安田氏はウェブマーケティングを徹底し、困っている人に情報を行き届くようにした。
・福祉にどれだけ法律を持ち込むべきかは、現実の支援において曖昧なところがある。
・人間それぞれ違うから好きに生きれば良い。自己肯定感をいかに持つことができるかが鍵。

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depth https://japan-indepth.jp/?p=47987 のサイトでお読みください。】


(前編のつづき)


では実際に生きづらさを感じている人に対し、周りはどのような手の差し伸べ方をしたらいいのか。

安田氏は、「馬鹿にしなければいいのではないか。”どうしたら良いのだろう”と思われることが当事者はプレッシャーなので、腫れ物に触るような扱い方をする必要は全くない。むしろ ”なんで引きこもったの?” とか、聞くとみんな結構喋ってくれる。」と、好奇心を持つことが当事者にとっては楽なのではないかとの考えを示した。

さらに安田氏は、「キズキ」のような場所の存在を知らずに、自分で抱えている人へのアプローチするためにウェブ・マーケティングを徹底したという。

「支援したい側の人間がマーケティングを知らずして、どうやってその人たちに言葉を届けるのかというのは、僕の昔からの疑問だった。支援するにはまず、困っている人に情報が届かなければならない。例えば、不登校から大学に行きたい人は、”不登校 大学受験”ってネット検索する。そのときにキズキ共育塾の情報を見つけてもらう必要がある。」

まず、支援対象に関連するワードでネット検索したらキズキ共育塾のサイトが1番上に出るようにする。次に、クリックして読んだときに「ここだったら通ってみたい」と思わせるようなwebづくりをする。そして、ページを見た人が何人問い合わせに結びついたかなどをデータで見ながら、改善を重ねたという。

安田氏は、「支援したいと思ったら、たとえばビジネスをきちんと学ぶ、マーケティングやwebについて学ぶ。そういったことを、福祉業界は今まであまりやってこなかったのではないか。」と、解決にあたりより具体的な努力の必要性を述べた。


また、今後の福祉の体制について安田氏は、若者層には理解が深まりつつあり、そういう人たちがアプローチしていってることでより良くなってる部分は多いと考えている。一方で、国や地方自治体が福祉施策を行う場合、税金を使う以上は「何人支援した」というような指標が求められることも指摘した。

キズキグループは、障害者総合支援法に基づく就労移行支援事業所「キズキビジネスカレッジ(KBC)」も運営している。KBCの特色の1つは、主にはうつ病や発達障害によって離職した方々を支援の対象としている点だ。就労移行支援事業所には、国から補助金(報酬単価)が支出される。報酬単価の基準は、「その事業所出身の何%の人が半年以上働いてるか」である。その数字により事業所が良いサービスを提供しているかどうかが判断され、国の支援がどれだけ得られるか決まる。


しかし、うつ病や発達障害による離職を経験した人にとって、再び半年以上働くというのはかなりハードルが高いのではないか。そう聞くと、安田氏は、「KBCが既存の事業所と大きく異なる点のもう1つが、利用者の自己理解に力を入れた上で、ファイナンス、マーケティング、ビジネス英語など、高度なビジネススキルを教えるということ。そうすると、様々な業界で本人に合った職種や職場環境を探すことができる。」と述べた。

KBCの支援が業界に及ぼす影響として、何が考えられるか。

KBCが”就職後半年以上働き続けた人”をたくさん輩出して評価されるようになると、他の事業所もKBCのような支援を行うようになるのだ。

従来の支援に加えて、新たな支援が広がっていく、ということである。

一方で、安田氏は「そのような支援で『長期的に働けるようになった人の数』が見えると『効果』が分かりやすいが、果たして福祉や教育の価値を数字に収斂させていいのかというのは今後の課題でもある。」と、福祉や教育業界の運営の難しさを説明した。

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最終更新:9/20(金) 11:05
Japan In-depth

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