ここから本文です

いとうせいこう、エネルギーシフトへの一大構想

9/20(金) 13:53配信

オルタナ

2016年4月の電力自由化以降、家庭向け新電力に切り替えた割合は全体の2割に満たない。エネルギーシフトをさらに加速させるため、小説家・タレントのいとうせいこうさんが9月21日、都内である構想を打ち上げる。同氏は3.11の原発事故を機に、中央集権的で独裁的な東京電力の在り方を指摘し続けてきた。この構想を考えるにあたった経緯について、関係者に寄稿してもらった。

8月末のある日。いとうせいこう氏が、三軒茶屋にあるみんな電力(以下、みんでん)の新オフィスにやってきた。実はそれは初めてのことではない。一番最初は、みんでんが三軒茶屋に引っ越し、再生可能エネルギーの生産者、需要家両者に集まっていただいて開催した「RE100クラブ」に飛び入り参加くださり、関係者を驚かせてくれた。

実はエネルギーについてのいとう氏の発信は、チェルノブイリ事故当時まで遡る。当時から小説家、ミュージシャン、俳優、タレントなど多岐に渡る活動を続けながら、しかし新たなエネルギーについての構想は何度も浮かびそうで消え、明確なものはいつもなかった。



だからこそ、氏が堰を切ったように約2時間、エネルギーの新たな在り方について語ってくれたその日は、もしかすると過去30年以上の中で、まさに歴史の分岐点だったのかもしれない。

もともとみんでんには「アーティスト発電所」という構想があった。その詳細はここでは割愛するが、いとう氏はその先で、「アーティストは議長とかリーダー的シンボリックな存在」と言う。力を入れて語るのは「選ばれた人だけができて、『あの人は特別だから』と思われてしまうのは違う」ということ。「誰でも参加できて、誰でも所有できる。その感じが大切なんだ」。

日本においてエネルギーはずっと知らない誰かがが所有し、何が内部で行われているか知る由はなく、選択肢なく提示されたものを享受し、対価を支払うものであった。「そうではない」と、いとう氏。

私たち全員の生活と密接なエネルギー。であれば、誰もが自分ごととしてそれを扱い、ともすればそれは生活を豊かにするものとして機能するべきで、特別な存在だけが扱える、他人事であるべきではない。

それはもしかすると、いとう氏が第一人者として道を切り拓いてきたヒップホップ文化にも通じるものがあるかもしれない。ヒップホップは、楽器が弾けたり歌が上手かったり、作曲ができないと演者になれなかった音楽を、そのすべてができない「非ミュジーシャン」たちに解放し、その世界における革命を起こしたからだ。

2011年の東日本大震災後、いとう氏の活躍は小説『想像ラジオ』(河出書房新社、2013)で野間文芸新人賞の受賞、2016年には自身30年の活動に『いとうせいこうフェス』というかたちで華を添え、国境なき医師団を追いかけパレスチナ自治区ガザを訪問するかと思えば、日本が誇るダブバンドDUBFORCEのポエットとして精力的に公演を続け、山本政志監督5年ぶりの新作には主演で登場――。

多忙を極める活動の中での、エネルギーについての大発表である。曰く、「みんな電力の存在とできることがあって、やっとずっとぼんやりとイメージしていたものが、初めて具体的な構想として降りてきた」。
氏の活動が1986年に始まったと考えると、併走してきたとも言えるチェルノブイリ事故の後、その在り方に初めて答えが出されるかもしれない、抗えないワクワク感もある。これまではなんだか複雑で小難しく、知るほどに眉間にシワが寄りがちなエネルギー問題に初めて提示される、未来を照らす処方箋となるだろうか。

2016年4月の電力自由化から3年半もの月日が経ち、社会を根っこから刷新するパスポートを手にしたのに、それを十分に使っているとは言えない私たちの社会。

会場は新宿BEAMS JAPANの4階だが、奇しくも同ビル1階では史上初めてとなる「電気の店頭販売」が開催されている最中。未来を先駆けたさらにその先の未来が発せられる、歴史の転換を目撃せよ!

text:平井有太
みんな電力が運営するwebメディア「ENECT」編集長。adidas発電所×BIOCRACY展(Curated by Chim↑Pom/2016)、再エネのテーマソング『ドレミファSOLAR』(Lee Perry、卍LINE、SHINGO★西成/2016)、ファッション×エネルギー企画(UNDERCOVER、nonnative、Bal/2018)、電気の店頭販売(新宿BEAMS JAPAN/2019)などを企画・担当。

いとうせいこうプロフィール:
1961年生まれ、東京都出身。1988年に小説「ノーライフ・キング」でデビュー。
1999年、「ボタニカル・ライフ」で第15回講談社エッセイ賞受賞、「想像ラジオ」で第35回野間文芸新人賞受賞。近著に「鼻に挟み撃ち」「我々の恋愛」「どんぶらこ」 『「国境なき医師団」を見に行く』「小説禁止令に賛同する」「今夜、笑いの数を数えましょう」などがある。執筆活動を続ける一方で、宮沢章夫、竹中直人、シティボーイズらと数多くの舞台をこなす。みうらじゅんとは共作『見仏記』で新たな仏像の鑑賞を発信し、武道館を超満員にするほどの大人気イベント『ザ・スライドショー』をプロデュースする。 音楽活動においては日本にヒップホップカルチャーを広く知らしめ、日本語ラップの先駆者の一人である。現在は、ロロロ(クチロロ)、レキシ、DUBFORCE、いとうせいこう is the poetで活動。テレビのレギュラー出演に「ビットワールド」(Eテレ)、「フリースタイルダンジョン」(テレビ朝日)、「ザ・モノシリスト」(BS朝日)、「トウキョウもっと!2元気計画研究所」(TOKYO MX)、「新テレビ見仏記」(関西テレビ)などがある。

【日時】9月21日(土)18時開演(17時45分より受付)~20時終了
開演から最初の1時間は、BEAMS経営企画室CSR担当・木下香奈さんとみんな電力スタッフ(竹蓋、平井)による、BEAMSの電気の切り替え、そして店頭販売秘話。
19時からは、いとうせいこう氏が構想するエネルギーにまつわる一大プランの発表と、みんな電力・大石英司社長も出席しての、いとう氏就任式が開催されます(いとう氏の登場は19時頃から)
【参加条件】毎月電力会社からご自宅に届く「検針票」をお持ちください。
なくても大丈夫ですが、持ってこられた方が優先となるので、立ち見の可能性があります。
*みんな電力のお客さまは、先着10名まで、検針票無しでも優先的に参加できます。
  契約画面をお見せいただければ、オリジナルステッカーを差し上げます。
【場所】BEAMS JAPAN 4F TOKYO CULTUART by BEAMS
東京都新宿区新宿3-32-6 4F
【電話番号】03-5368-7300
*事前のお申し込みはTOKYO CULTUART by BEAMSへ直接お電話ください(先着40名)

最終更新:9/22(日) 1:05
オルタナ

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事