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空家対策、ランドバンクとは

9/20(金) 23:01配信

Japan In-depth

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【まとめ】

・空き家が増え、歯抜け状態にある山形県上山市に注目集まる。

・「かみのやまランドバンク」は土地の価値を上げ、売却できる取り組み。

・高齢者と子育て世帯を結びつける「住み替えバンク事業」で空き家を防ぐ。

全国に空き家は最新の調査で846万戸と過去最高を更新した。すべての住宅に占める割合は実に13.6%。人口減少で今後も空き家は急ピッチで増えるとみられる。全国の市町村にとって頭の痛い問題だ。そんな中、山形県南東部にある人口3万人の上山(かみのやま)市に注目が集まっている。

「上山市は、上山城があり、城下町としてにぎわっていた。しかし、中心部に空き家が増え、歯抜けの状態になっている。ここで、なんとか踏みとどまりたい。それには私たちの世代が頑張るしかない」。

こう話すのは、上山市建設課係長の鏡昌博だ。もともと一級建築士。しかも、鏡は中心部で生まれ。それだけに、空き家が増え続ける事態に対して、座視できないようだ。

市内の空き家は2017年12月末現在で373戸。このうち4分の1は、市中心部にある。鏡が試行錯誤の末、たどり着いたのは、アメリカで普及している「ランドバンク」というやり方だ。単独では、採算が見込めず、放置されてきた空き家や空き地、道路などを一体的に再編する。このランドバンクは、全国の自治体を悩ます空き家問題の解決のカギがあるのではないか。私はそう思って、上山市の鏡に話を聞いた。

この取り組みを担うのは、NPO法人「かみのやまランドバンク」だ。19年6月に設立された。上山市、宅地建物取引業協会、司法書士会、土地家屋調査士会などが構成メンバーだ。さらには全国で唯一不動産学部のある明海大学も加わる。

上山市のランドバンクでは、収益ベースにこだわる。つまり、NPO法人の会員である不動産業者が、安い土地を買い取り、建設業者らと一緒に再編。価値を上げて、売却し、利益を確保する仕組みだ。

空き家再編の際、所有者探しが第一歩となる。そこで登場するのは、行政だ。市は例年5月に、不動産の所有者、1万5000人ほどに納税通知書を出す。その際、空き家バンクへの登録を呼びかけるチラシを入れる。親から引き継いだ空き家の維持管理に困っている人が反応するケースもある。行政だからできる空き家の掘り起こしと言えよう。

こうした人に直接交渉するのは、NPO法人の理事長も務める山形第一不動産社長の渡辺秀賢だ。東京まで出向くこともある。

ただ、所有者と言ってもすでに、故人の場合や、所有権が細分化されていることもある。そこで出番になるのは、司法書士だ。複雑な権利関係を整理する。それでは、具体的にどのような空き家が対象となるのか。

仙台市に住む60代の会社員Aさんは10年前に、母親から家屋を引き継いだ。悩みの種は、管理費だ。住んでいないのに、水道管が破裂すれば、出費となる。いっそのこと、売却したり、賃貸のアパートを建てようとするが、それもままならない。奥まったところにあるため、解体のための重機も入らない。そもそも現状では、道路に面してないため、建築基準法上、解体しても、建て替えることができない。

Aさんの家屋は、道路に面していない。同じ区画のほかの2つの空き家も同様だ。道路側には、居住中の2軒の家と、駐車場がある。NPO法人は、3軒の空き家と駐車場の所有者と交渉する。

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最終更新:9/20(金) 23:01
Japan In-depth

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