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トヨタ流を「なんちゃって」でマネをした中小企業の末路

9/20(金) 8:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

トヨタ系といえば、「なぜを5回繰り返す」等の徹底的な原因追究を行い、事業の“カイゼン”を図ることで有名です。しかし、この方法を一辺倒に真似してしまうと、かえって部下を追い込んだり、成績を悪化させたりするリスクが潜んでいます。そこで本記事では、上場企業から中小企業まで幅広く経営支援を行っている森琢也氏が、「トヨタ流」を参考にする際の注意点について解説します。

なんでもかんでも「なぜを5回繰り返す」は間違い

トヨタ系といえば、「なぜを5回繰り返す」等の徹底的な原因追究や“カイゼン”活動で有名です。筆者は新卒入社から約10年間、トヨタ系自動車部品会社の株式会社デンソーに在籍していました。

在籍当時、企画部署にて、「なぜコストが下がらないのか」と関係部署と必死に議論することもあれば、顧客企業から「なぜこの売価か?」と問われた時のために、説明ロジックを入念に組み立てることもありました。

日々、とにかく事実・数字・論理が求められ、出来の悪い筆者には苦行の毎日でした。しかしながら、組織一丸となり徹底して「なぜ」を繰り返すことで、不可能に思えた採算改善プロジェクトでさえ大逆転させていくプロセスを体験。なぜなぜの重要性や効果・効用を実地で学びました。

とはいえ、「なぜを5回繰り返す」が、いついかなる場合も有効だとは考えていません。

仕事における問題解決の場面では、「なぜを5回繰り返す」ことで真因に迫り、大きな成果を生み出せる一方、従業員や部下がミスをした場面では、安易に「なぜなぜ」を繰り返すと、相手を精神的に追い込み、休職や退職など取返しのつかない事態を招くリスクも生じます。時に、「なぜを5回繰り返す」は言葉の凶器にもなりえるのです。

◆「組織の成功循環モデル」

[図表]は、マサチューセッツ工科大学(MIT)のダニエル・キム教授が提唱していた「組織の成功循環モデル」です。ダニエル・キム教授は、バッドサイクルとグッドサイクルを示し、一見遠回りに見えるものの、職場の「関係の質(=互いに尊重し、結果を認め、一緒に考える)」を高めることが、組織として持続的に成果をあげる近道だと提唱しています。

「成果があがらない」「ミスが起きた」といった場面で、結果の質だけを問い詰めると悪循環を招く恐れがあります。誰しも、困難な状況では、状況打破や“カイゼン”を急ぎたいものですが、従業員や部下に「なぜなぜ」を繰り返しても、逆効果を生んでしまう恐れがあることを示唆しています。

バッドサイクル((1)→(2)→(3)→(4)→・・・)

(1) 成果・業績が上がらない(結果の質)

(2) 対立が生まれ、命令・指示が増える(関係の質)

(3) 思考停止し、受け身で聞くだけ(思考の質)

(4) 自発的・積極的に行動しない(行動の質)

(1) さらに成果が上がらない(結果の質)

グッドサイクル((1)→(2)→(3)→(4)→・・・)

(1) お互いに尊重し、結果を認め、一緒に考える(関係の質)

(2) 気づきがあり、当事者意識を持つ(思考の質)

(3) 自発的・積極的にチャレンジ・行動する(行動の質)

(4) 成果が得られる(結果の質)

(1) 信頼関係が高まる(関係の質)

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最終更新:9/20(金) 8:00
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