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DA PUMP「U.S.A.」を日米関係から読み解く

9/20(金) 12:01配信

現代ビジネス

「U.S.A.」は「アメリカに憧れる」曲なのか?

 いまこの原稿を読みはじめている読者に、DA PUMPの「U.S.A.」を知らない日本人はいないだろう。いや、日本どころか、あの通称「いいねダンス」のインパクトも手伝って、この曲は文字通り世界へと広まった。わたしも現在住んでいるアメリカで、あの動作を真似ながら「U.S.A.」のメロディを口ずさむ外国人に遭遇して、何度ギョッとしたかわからない。

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 「U.S.A.」は、言うまでもなく、アメリカについての曲である。だが、この曲で歌われる「アメリカ」の意味は十分に理解されているとは言いがたく、「ダサかっこいい」と評されたその強烈なセンスに惑わされてか、多くのリスナーがこの曲を過小評価してしまっている。

 たとえばポピュラー音楽研究者の増田聡は、アメリカを痛烈に批判するMVで同時期に話題となったチャイルディッシュ・ガンビーノの “This Is America” と対比して、「無邪気にアメリカへの憧憬を歌う」DA PUMPの「楽天的なムード」は、「政治や社会の問題から目を背け、音楽を娯楽として消費するばかりの日本を象徴している」としたうえで、「U.S.A.」のリフレインは「昨今の日米関係の不安定化に怯える「子供」がなんとかやっていくために必要な、「秩序」を取り戻す呪文のように聞こえてくる」と述べている(朝日新聞、2018年11月26日夕刊)。

 批判的な評価に面喰らってしまう読者もいるかもしれないので補足しておけば、ここではたしかに厳しめの語彙が用いられているものの、「U.S.A.」の非政治性を批判するならば、これはごく一般的な評価になると思われる。

 だが本稿では、いっけん「子供」じみた「呪文」以上のものには思えない「カモン・ベイビー・アメリカ」と「いいねダンス」が発する「楽天的なムード」から、まさしく「政治や社会の問題」を摘出してみたい。

 「無邪気にアメリカへの憧憬を歌う」日本のポップスとして消費されている「U.S.A.」を読み解くには、やはり日米関係に着目する必要がある。その政治性があぶり出される過程で、彼らが歌う「アメリカ」に、そして「ダサかっこよさ」に込められたアイロニーが、徐々に聞こえてくるだろう。

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最終更新:9/20(金) 12:01
現代ビジネス

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